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中国首相 影の銀行デフォルト「不可避」

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中国首相 影の銀行デフォルト「不可避」

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想定される「影の銀行」のデフォルト(債務不履行)=2014年3月13日現在、中国  中国の第12期全国人民代表大会(全人代=国会)第2回会議は最終日の3月13日、北京の人民大会堂で、今年の経済成長率目標を前年と同じ7.5%に設定することなどを盛り込んだ政府活動報告や2014年予算案などを承認し、閉幕した。

 救済方針を転換

 閉幕後、記者会見した李克強首相(58)は「全面的な改革深化」への決意を表明。金融当局が実態を把握していない「影の銀行(シャドーバンキング)」など金融商品をめぐるデフォルト(債務不履行)問題について「発生は避けられない」と述べて、容認に転じたことを認めた。影の銀行をめぐっては、年内に5000億元(約8兆3000億円)前後のデフォルト発生懸念がある。発生が相次げば市場心理が冷え込み、“負の連鎖”が海外にも広がる恐れもある。

 李氏は「デフォルト発生は見たくない」と前置きした上で容認論を展開。「監視を強め、金融システムリスクへの波及を防ぐ」と強調した。さらに、「債務リスクはコントロールされている」と自信をみせた。

 中国は従来、危機に陥った金融商品に当局が手を回して救済してきたが、救済に甘えてきた投資家の資金が逆に「影の銀行」を肥大化させたとの反省がある。金融商品デフォルト容認は中長期的には市場健全化に結びつくとみて、全人代開幕中の(3月)7日に、中国初の社債デフォルトを認めていた。

 市場「過剰反応」も

 だが、世界を牽引する世界2位の経済大国、中国でデフォルトと成長減速が同時に多発すると面倒だ。

 李氏は会見で、成長率目標の7.5%について「少し高くても低くても許容する」と述べた。むしろ、1000万人以上の新規雇用や環境保護対策を重視する。過去10年以上にわたり、実際の成長率が政府目標を下回ったことはないが、今年は7.5%に達しない可能性が高いことを示唆した。インフレ防止も含め、「バランスのとれた経済政策は難度が高い」とも述べた。

 国有企業や土地制度などの構造改革についても触れたが、成長への短期的な貢献は望めそうもない。輸出もガタ落ちで、成長減速が鮮明になる中で金融商品のデフォルトが相次ぐと、新興国の通貨や株式、債券市場が乱高下、日米欧などでも「市場が過剰反応する恐れ」(丸紅経済研究所の鈴木貴元シニア・エコノミスト)が指摘されている。

 中国のデフォルト容認は世界経済にとっても“危険なカケ”になりそうだ。(北京 河崎真澄/SANKEI EXPRESS

 ≪PM2.5に「宣戦」 対策強化急ぐ≫

 中国の李克強首相は3月13日、北京市を含めた広い地域で深刻化している微小粒子状物質「PM2.5」を含む大気汚染について「重要な国民生活問題になっている。粗放な生産方式を改めなければならない」と述べ、対策を強化していく考えを表明した。

 PM2.5をめぐっては、日本の環境省が2月28日、8府県で大気中濃度が国の暫定指針値を超えたと発表するなど、日本への影響が懸念されている。

 李首相は汚染に対して「宣戦布告」するとし、工場などが汚染原因となる物質を違法に排出する行為について「決して手を緩めず、厳しく対処する」と強調。「見て見ぬふりをしたり、監督管理を怠ったりした当局者」の責任も厳しく追及するとした。

 改善の見通しについては「有害物質を含んだ濃霧発生の原因は複雑。(抑え込みには)長いプロセスが必要」と述べ、「難題解決に向けてたゆまぬ努力を続けよう」と呼び掛けた。

 北京市や河北省では全人代の期間中も有害物質を含んだ濃霧が発生。中国環境保護省は(3月)8日、昨年(2013年)1年間、74都市で汚染状況を調べた結果、71都市でPM2.5が基準値を上回ったことを明らかにした。(共同/SANKEI EXPRESS

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