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【ソチ五輪】「ミーシャの孫」 熱戦終幕告げる
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閉会式で日の丸の小旗を手に笑顔で入場する浅田真央(まお)選手(中央)ら日本選手団=2014年2月23日、ロシア・ソチのフィシュト五輪スタジアム(古厩正樹撮影) □SOCHI OLYMPICS
17日間にわたる雪と氷のスポーツの祭典「ソチ冬季五輪」が2月23日夜(日本時間24日未明)、幕を閉じた。閉会式で熱戦に終わりを告げたのは、1980年モスクワ五輪のマスコットでロシアの人々の記憶に残るクマの「ミーシャ」の孫とされるホッキョクグマだった。
五輪旗が次回の開催地、韓国の平昌に引き継がれ、国際オリンピック委員会のバッハ会長が閉会を宣言した後にハイライトが待っていた。
今大会のマスコットのホッキョクグマ、ユキヒョウ、野ウサギの巨大な人形が登場すると、スクリーンにはモスクワ五輪の閉会式でミーシャの人形が空に飛び立つ光景が映し出された。寂しげな表情を見せたホッキョクグマが目の前の炎を吹き消すと、大会を見守り続けた聖火も静かに消えた。直後、左目から青色の涙が一粒こぼれた。
東西冷戦下、ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議する米国や日本など西側諸国がボイコットしたモスクワ五輪の閉会式は、観客席に人文字で描かれたミーシャが涙を流す演出が話題を呼んだ。34年後、ソチで開催された雪と氷の祭典は穏やかに終幕を迎えた。
式典はロシアの重厚な文化、芸術に彩られた。ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」がグランドピアノ1台と、62台のピアノが登場する壮大な演出で奏でられ、ロシアのバレエ最高峰のボリショイ、マリンスキー両劇団も「シェエラザード」の旋律に乗って美しく舞った。
≪華やかにフィナーレ 次は韓国・平昌≫
閉会式で旗手を務めたカーリングの小笠原歩(あゆみ、35)はしっかりと日の丸を掲げ、選手たちはリラックスした表情でフィナーレの式典を楽しんだ。浅田真央(まお、23)は仲間との記念撮影で跳びはね、はしゃいだ様子だった。
「もっともっと試合がしたかったなというのが正直な思い」。閉会式に合わせて発表されたコメントでこう語った小笠原は、笑顔を浮かべながらも、高く掲げた日の丸を名残惜しそうに何度も眺めた。
日本とロシアの小旗を持った浅田は、「最後は自分の中で最高の演技ができた」との言葉どおり、充実した表情。高橋大輔(27)がカメラを向けると、町田樹(たつき、23)らと一緒にジャンプした。
高橋は五輪への思いを「最高に楽しいですが、最高にきつい場所だとも思います。アスリートにとって一番やりがいを感じる場所なんじゃないか」とコメント。町田は「まだまだ僕は未熟で、学んでいかなければならないと痛感させられた」とした。
「たくさんの方々の応援に何回も背中を押され、助けてもらいました」と感謝した金メダリストの羽生結弦(はにゅう・ゆづる、19)は、全てを出し切った様子で脱力した表情。
スピードスケートの田畑真紀(39)やアイスホッケー女子のメンバーらは、眼前で華やかに繰り広げられるバレエやサーカスに見入った。おとぎ話のような世界が見る人を楽しませた。
やがて会場全体が巨大なダンスフロアに。高橋は選手席で踊りだし、他の選手らとともに階段を下りた。周りを埋め尽くした各国の選手団と交じり合い、リズムに身をゆだねた。(共同/SANKEI EXPRESS (動画))