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業界が驚かされた革新的なリリース ビヨンセ
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米歌手、ビヨンセ=2013年8月29日(提供写真) 音楽が売れないと言われるなか、ビヨンセは昨年(2013年)末に新作をサプライズリリースし、世界中をあっと言わせた。「コンテンツを他人のメッセージやフィルターなしに、直接ファンに届けたい」と、前告知を全くしないままiTunesから独占先行配信し、発売開始から3日間で約83万枚をセールス、104カ国で1位を獲得した。しかも新作「ビヨンセ」は、14曲とミュージックビデオ17本を合わせた斬新な内容の“ビジュアル・アルバム”。ここには大勢のプロデューサーやシンガーらが関わっているうえに、映像も故郷ヒューストンやパリ、シドニーなど世界各国で撮影したものの、情報が一切漏れなかった。何しろ、レコード会社のスタッフさえ知らされていなかったのだ。
「私はこのアルバムをひとつの完成した作品として作り上げたかった。それが今のポップミュージックから失われてしまっていることだと思うから。それぞれ違った聴き方をして、異なる第一印象を持ってほしい。10秒足らずのミュージッククリップじゃなくて、アルバムの全体像を見てほしい。だからこのアルバムを1本の映画として、そして体験として作り上げることが重要だったの」
真っすぐな性格で知られ、プライベートを切り売りするようなこともなく、アーティスト活動に人として真摯に向き合う。2枚組DVD『ライフ・イズ・バット・ア・ドリーム/ライブ・イン・アトランティックシティ』のドキュメンタリー部分で、初めての赤ちゃんを流産した話や、その後の代理出産疑惑報道に関しても赤裸々に語っている。そして常に完璧主義者である彼女は目標を高く掲げ、「自分を超えたところにある神の意思」に自らを委ね、実現してしまう。以前はデスティニーズ・チャイルドに在籍していたが、まさに“運命の子”がそのまま“神のおぼしめし”でここまでやってきた感じだ。
「マドンナがそうしたように、自分自身がパワーハウスとなり、自分の帝国を作るということ。どこかの会社と契約して自分のお金や成功の分け前を共有するのではなく、自分でできることを他の女性たちにも知らせたかった」
発売後に、自らの発言をネット上にアップ。ビヨンセの歌へ込めた愛、開拓者としての意思は、音楽業界のみならず、新しい試みに向かう女性たちの背中を押してくれるはずだ。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS (動画))