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ゆったり流れる心地よい時間 Cafe Bibliotic Hello!
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ベーカリーの焼きたてパン。カフェでイートインもできる
京都に味わいのあるカフェが多いのは、学生の街だからか、古い都市だからだろうか。ちょっと長い名前の「Cafe Bibliotic Hello!」(カフェ ビブリオティック ハロー)は、なじんだ恋人のような喫茶店。地元のリピーターから外国人観光客まで、思い思いの時間を過ごしにやってくる。だからコーヒーでも食事でもお酒でも、気の向くままに…が客のスタンスだ。
「どこがいいの?と聞かれて、なんかいい。そんな感じですかね。居てて自然に楽な店をめざしているんです」。店長の澤村洋兵さん(28)は、そんなふうに笑う。外観は南国風。町家などが並ぶ京都の市街地にたたずむオアシス…といった趣だ。
ドアを開けると吹き抜けの空間に大きな本棚が目に入る。時折、客が立ち上がっては本を眺め、1冊2冊と手に取って、また自分の席に。ゆったりと流れる時間が心地よい。
「京都にいる間、毎夕に寄ってくださる外国人観光客の方もいました。一日の最後に決まってここで時間を過ごすんです。帰る前に、今日が最後ですと声を掛けられました。なんかうれしかったですね」と澤村さん。京都の旅を楽しんでくれたのだろう、その一部になれたことがうれしいという。
実はここ、喫茶店を舞台にした人気ミステリー「珈琲店タレーランの事件簿」(岡崎琢磨著)のモデルの一つなのだそうだ。著者が学生時代によく訪れていたそうで、この日もパソコンに向き合う人、カップルで読書をする人など、さまざまな客が時間を過ごしていた。
さて、おいしいコーヒーはもちろんのこと、ランチやディナー、軽い食事とさまざまに楽しめるメニューをそろえているのも特徴だ。
一番のおすすめは、自家製デミグラスソースが自慢の「黒毛和牛のビーフシチュー」。土鍋に入った熱々のシチューと、隣の併設ベーカリーで焼いたフランスパンのセットが人気の一品。
「手を抜かないのが信条」というスタッフが、食べやすさを考えて一から作るソースはさらりとしてあっさりした味わい。一度食べるとやみつきになること請け合いである。ワインをお供にディナーでも、というときによさそうだ。
ヘルシーなブランチを…というときは、ボリュームたっぷりの「サラダニソワーズ」と、ベーカリーから好みのパンを選んで組み合わせる…という選択肢を。パリパリのクロワッサンやフランスパン、かむとじんわり甘い自家製酵母パンなど、バリエーションが豊富で、好みの味を自由に選ぶのも楽しい。
もちろん、カフェタイムに楽しむデザート類も充実している。一言でいうと、飾らないのが魅力。
定番のフルーツタルトは、季節によってさまざまなフルーツが選べる。現在は、イチゴ、マンゴー、メロン、そして変わり種のデコポンからチョイス。夏はモモなども人気だそうだ。
ベーカリーで焼く自家製のカップケーキはお土産にもいい。生地と上のバタークリームの組み合わせが豊富で、出してもらったのはチョコ生地にピーナツバター、チョコ生地にミントクリーム、そしてバニラ生地にラズベリークリームの3種。2つくらいはぺろりと食べてしまいそう。
じっくりいれたコーヒーのおいしさはいわずもがなだが、ちょっと変わったお茶を紹介してもらった。オーガニックの「屋久島産野ぶどう茶」。ポットサービスをチョイスすると、作品がMoMA(ニューヨーク近代美術館)のコレクションにも選ばれたという「ヒースセラミックス」(米の有名磁器メーカー)のポットが出てきた。コロンとしたフォルムとあたたかみのある色合いは、和洋に合うシンプルなスタイル。野ぶどう茶はブドウの葉のやさしい香りがして、ごくごく飲める飲みやすさで人気が高い。
いろんなスタイルで楽しめるハローの時間。常連が多いのも納得だ。(文:山上直子/撮影:恵守乾/SANKEI EXPRESS (動画))