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米MS、CEOにナデラ氏 ゲイツ氏が「技術アドバイザー」
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米マイクロソフト(MS)は2月4日、スティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)の後任に、企業向け事業担当副社長のサトヤ・ナデラ氏(46)が2月4日付で就任したと発表した。1975年創業のMSの3代目CEOとなる。創業者のビル・ゲイツ氏は会長を退任するが取締役に残り、技術担当アドバイザーに就任し、経営への関与を深める。
MSはスマートフォンなどの携帯端末への取り組みで米アップルやグーグルに後れを取っている。ゲイツ氏が後見役となり、成長するクラウドサービス事業を率いてきたナデラ氏との新体制で経営改革を目指す。
ナデラ氏はインド出身。米国の大学でコンピューターや経営学を学んだ。旧サン・マイクロシステムズを経て92年にMSに入社。企業向けソフトやオンラインサービス事業を中心に歩んできた。
ゲイツ氏は声明で「ナデラ氏は熟練した技術力と経営ビジョン、人々をまとめる能力を持ったリーダーだ」と評価した。ジョン・トンプソン取締役が会長に就任する。(SANKEI EXPRESS (動画))
≪携帯・クラウド 巻き返し創業者頼み≫
米マイクロソフト社の技術アドバイザーに就任した、創業者のビル・ゲイツ氏。ナデラ氏は、経営の一線から退いていたゲイツ氏を指南役として引っ張り出し、出遅れた携帯端末や、成長するクラウドサービスの強化で巻き返しを図る。
「技術や製品開発に多くの時間を割いてほしいと頼んだ」。ナデラCEOは2月4日、全社員に宛てたメールで、ゲイツ氏に事業への関与を深めるよう要請したことを明らかにした。
それに応える形で、ゲイツ氏は会長という肩書を外す代わりに知見の深い技術の助言役に就任。2008年の“引退”表明後は自らの財団を通じた慈善事業に尽力していたが、今後は「自分の時間の3分の1超」をMSに注ぎ込むと表明した。
課題は山積している。パソコン市場の低迷で看板製品「ウィンドウズ」は不振が続く。バルマー前CEOはタブレット端末への対応を進め、ソフト中心の事業から「機器とサービス」への転換を目指した。
スマートフォン向け基本ソフト(OS)「ウィンドウズフォン」は世界で数%のシェアしかなく、先行する米アップルやグーグルの背中は遠い。買収するフィンランド・ノキアの携帯電話事業との円滑な統合も重要だ。
ネット検索サービスはグーグルの後塵を拝し、ゲーム機「Xbox」ではソニーや任天堂と競う。ウォール街からは広がった事業のスリム化を求める声も出ている。
ナデラ氏は4日のイベントで「携帯とクラウドが最優先だ」と繰り返し、「他社がまねできないことに焦点を絞る」と戦略の一端を語った。
米調査会社ガートナーのマーブ・エイドリアン氏は「ゲイツ氏は現状打破が必要と理解して関与を深めた」と指摘。ゲイツ氏を後ろ盾に、新CEOはMSに革新性を取り戻すという難題に挑む。(共同/SANKEI EXPRESS (動画))