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激化する中国の反日キャンペーン
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東京都千代田区九段北の靖国神社
安倍晋三首相(59)の靖国神社参拝から3週間以上がたった今も、中国による安倍氏批判は、止むどころか、激しさを増している。世界各国に駐在する中国大使らが、現地有力紙への寄稿などを通じ、「侵略の歴史の美化と戦後国際秩序の否定こそ、安倍氏の靖国参拝の本質だ」などと、一方的な主張を拡散し続けている。
中国の狙いについて、シンガポールの英字紙、
「たいていの国は、日中間のもめ事に巻き込まれたくないと思っている。中国もそれは知っているが、安倍氏の靖国参拝を、歴史と第二次世界大戦の結果を覆そうとする意図の表れだと描くことで、国際問題に変え、もっと多くの国に日本を非難させることができると考えている」
海外の中国系メディアも中国大使らに呼応した動きを見せている。
米国の中国系住民向けメディア「
社説はまず、世界各地で安倍氏の批判キャンペーンを繰り広げる中国の大使らを、「国際メディアの中で、世論における要衝を先に占領した。中国外交史上まれなことで、在外の中国大使は今回の世論戦の主力軍となっている」と称賛。戦いは「必ず持久戦になる」として、「中米合同で、各種の抗日テレビ番組や映画をつくり、米国人の中に日本の戦争犯罪行為の記憶を呼び起こす」「ネットメディアや広範な海外の中国語メディアをフルに活用して、欧米の主要メディアや政治家へのロビー工作をする」などと戦法を“指南”した。
もっとも、中国が対外的な世論工作を強化するのは、国際社会の支持が十分でないとの認識があるからなのかもしれない。
中国主要紙の論調にはそれがにじんでいた。中国共産党の機関誌、
中国の期待に沿った「安倍批判」をしない他国に不満を示したわけだが、折しも、中国は南シナ海に外国漁船の操業を規制する区域を一方的に設定したばかり。中国との間に南シナ海の島々をめぐる領有権問題を抱える東南アジアの国々にとっては、日本の過去の「歴史」よりも、中国の挑発行為という差し迫った課題が重要であるはずで、中国が望む反応が出ないのも無理はない。
人海戦術を駆使する中国の攻勢を前に、日本の対応は後手に回っている印象だが、それでも米国、豪州、カナダなどいくつかの国で日本の大使が地元メディアに寄稿し、反論を開始した。
先陣を切ったのは、林景一駐英大使(62)だ。1月5日付の英紙、
しかし、英メディアを舞台にした日中外交官の応酬には、冷ややかな見方も出た。インド紙、
相手の土俵に乗らず、品格を保った上で、いかに中国の不当な主張を突き崩して、逆に国際世論の支持を広げるか。容易ではないが、日本側も反転攻勢の対外発信力を磨かなければならない。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS)