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盤石な正恩体制 内外に誇示 金総書記追悼大会 序列に変化

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盤石な正恩体制 内外に誇示 金総書記追悼大会 序列に変化

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 朝鮮中央テレビによると、北朝鮮は金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去から2年となる12月17日、平壌で中央追悼大会を開いた。金正恩(ジョンウン)第1書記はひな壇中央に着席、金永南(ヨンナム)最高人民会議常任委員長は追悼の辞で、金第1書記を「団結の唯一の中心」と述べた。大会は張成沢(チャン・ソンテク)前国防副委員長の処刑から間もない中で行われ、3年目を迎えた金正恩体制の盤石さを内外に誇示してみせた。

 崔氏 第1書記の隣に

 張氏の妻で金総書記の実妹、金敬姫(ギョンヒ)氏の姿は見られなかった。一方、張氏粛清後、実質的なナンバー2と目されている崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮人民軍総政治局長は座席が金第1書記のすぐ隣に移動し地位の高まりが示された。

 崔氏の側近とされる李永吉(リ・ヨンギル)軍総参謀長や張正男(ジョンナム)人民武力部長、粛清を主導したと伝えられる党組織指導部の趙延俊(チョ・ヨンジュン)第1副部長と、死刑判決を下した裁判所を所管する国家安全保衛部の金元弘(ウォンホン)部長ら金第1書記を支える顔ぶれがそろった。

 張氏に近いとされていた金養建(ヤンゴン)党統一戦線部長らの姿もあり、権力構造の変化をうかがわせた。

 大会で姿が見えなかった金第1書記の妻、李雪主(ソルジュ)氏は17日、金第1書記に同行して金総書記の遺体が安置されている錦繍山(クムスサン)太陽宮殿を訪問したと北朝鮮メディアが伝えた。

 大会は昨年同様、厳粛な雰囲気のもとで行われ、体制引き締めに加えて、張氏粛清後の金正恩体制の安定を示そうという北朝鮮当局の意図がうかがえる。大会で張氏への言及は一切なかった。

 韓国メディアが17日に報じた昨年の追悼大会との映像比較を見ると、ひな壇中央に座った金第1書記は昨年よりも拍手や書類に目を落とす頻度が減った。昨年に比べ落ち着いているように見え、表情の変化にも乏しかった。

 金第1書記の左隣に座った崔氏は「決意演説」で米韓を強く威嚇する一方、「わが革命武力は敬愛する最高司令官、金正恩同志以外には誰も知らず、最高司令官同志だけを奉じる」と忠誠を誓った。

 崔氏の父、崔賢(ヒョン)元人民武力部長は生前、金日成(イルソン)主席への忠誠心が強く、反金日成勢力に立ち向かったとして知られる人物。

 その息子の最高指導者への忠誠は、北朝鮮が表現として好む「代を継ぐもの」でもある。

 軍での思想統制や規律を担当する総政治局長のポストにいる崔氏が、軍だけでなく今後、体制全体への影響力を強めることが予想される。

 軍事挑発の可能性も

 朝鮮中央テレビはこの日、追悼大会を生中継しており、韓国のテレビ局でも同時に放映された。韓国の金寛鎮(グァンジン)国防相は17日、軍幹部会議で、北で体制不安や忠誠心競争が起きる可能性に言及。

 「来年1月下旬から3月初め頃にかけ(軍事)挑発を行う可能性が高い」と述べて態勢を整えるよう指示した。

 韓国では、韓国攻撃を示唆した北朝鮮製とみられるビラが発見されており、軍は緊張を高めている。(ソウル  加藤達也、名村隆寛/SANKEI EXPRESS

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