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必ず結果を出さねばならない 映画「47RONIN」 浅野忠信さんインタビュー

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必ず結果を出さねばならない 映画「47RONIN」 浅野忠信さんインタビュー

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 日本の「忠臣蔵」をモチーフにファンタスティックな映像で物語を再構築してみせたのが、米3Dアクション映画「47RONIN」(カール・リンシュ監督)。この10年、精力的にハリウッド作品に出演を重ね、俳優として新しい自分の姿を見つけようと模索してきた浅野忠信(40)が、本作では極悪非道のヒールとして描かれる吉良上野介役で登場する。「確かに作品の設定は一歩間違えばお客さんからブーイングを浴びかねないものでしょう。見せ方は3Dですし、名字は浅野なのに僕は吉良を演じましたよね。でも僕はしっかりと構築されたものを一回壊してみて、新しいものを作り出していく行為が大好きなんですよ。ぜひこの作品に出演したいと思いました」。浅野はジョークを交えながら独特な雰囲気を漂わせる面妖な出演作を紹介した。

 ヒットへ妥協は一切ない

 江戸時代は徳川綱吉将軍(1646~1709年)の治世、播州赤穂の主君、浅野内匠頭(田中泯)は、国の乗っ取りをもくろむ侍、吉良上野介(浅野忠信)と妖術使いの女(菊地凛子)の陰謀で殺害された。侍の身分を奪われた浅野の家臣、大石内蔵助(真田広之)らは謎のはぐれ者(キアヌ・リーブス)と協力し、たった47人で主君の敵討ちに立ち上がる。

 ハリウッド映画への出演は4作にのぼる。名だたる日本の映画監督の下で演技を磨いた駆け出し時代の90年代に比べ、今では撮影に臨む心構えがまったく違うものとなっていた。浅野が真っ先に挙げたのは、いつの間にか身についた「公開後に必ず数字で結果を出さねばならない」という危機感だ。

 「僕が出演したハリウッド作品はビッグバジェットを投入した大作が多く、関わる人は、どんな小さな役割しか担わない人でも『結果を出さなければ明日はない』という意識が染みついていました。作品のヒットという目標に向かって妥協は一切ないのです。とても勉強になりましたね」。自分を含め、ほとんどの日本人俳優が英語を話せなかったとはいえ、リンシュ監督からは容赦ない注文が次々と飛んだ。リンシュ監督は演技で必要とする情感を正確に理解させようと、英語のセリフを日本語に直したうえで浅野たちに読み合わせさせたほどだ。

 チャンスも与えられるが

 責任や義務がとてつもなく大きい一方で、任される仕事への発言権は強く、自由度も高いようだ。「もちろんハリウッド映画は金がたくさんありますから、僕が『こうしたい』『ああやりたい』と申し出れば、チャンスは与えられます。もちろん『必ず結果を出せよ』と言われてね。そこはとてもフェアです」。浅野は、ハリウッドでの体験を日本映画の撮影現場に持ち込もうなどとは考えていない。それぞれに培われた文化があるからだ。ただ、「日本の映画撮影と同じテンションで撮影に臨んでも、完成した作品は絶対にいいものにならない」との気持ちを大事にしようと思っている。12月6日、全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS

 ■あさの・ただのぶ 1973年11月27日、横浜市生まれ。主な出演作は、99年「御法度」、2000年「五条霊戦記/GOJOE」、01年「DISTANCE/ディスタンス」、02年「アカルイミライ」、03年「座頭市」など。海外作品では、11年「マイティ・ソー」、12年「バトルシップ」など。14年2月に「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」が公開される。

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