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「楽しい」「おいしい」 高速SA・PA

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「楽しい」「おいしい」 高速SA・PA

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 高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)が楽しむ場に変わりつつある。童話をテーマに南フランスの街並みを再現したり、有名店がそろう複合商業施設を開業したりと、単なる休憩場所から目的地に変貌。管理する高速道路会社は集客増につなげようと知恵を絞っている。

 南仏の街並み再現

 白壁の建物にフランス語で書かれた店名-。関越自動車道の上り線にある「寄居 星の王子さまPA」(埼玉県深谷市)は、東日本高速道路が2010年、フランスの人気童話「星の王子さま」をテーマにリニューアル開業した。

 建物の外観から散策路まで、作者のサンテグジュペリにゆかりのある南フランス・プロバンス地方の雰囲気を味わえる。プロバンスの家庭料理を提供するレストランや、1930年代の味を再現したコーヒーを楽しめるカフェ、目の前でシェフが調理してくれるオムライス専門店のほか、輸入雑貨・食品の販売店、バラが咲く庭もある。

 施設内のツアーなどイベントも多い。夫とツアーに参加した埼玉県入間市の女性保育士(54)は「普通のPAでは味わえない体験ができて楽しい」と満足そうに話す。

 「PAに立ち寄る人の滞在時間は通常20分程度だが、ここでは2~3時間過ごす人も多い」と施設の運営会社セラムの鳥居明希子代表取締役。「ラーメンもそばもないPAだが、ゆっくり過ごして『大切なことは目に見えない』という童話のメッセージを感じていただければ」と期待する。

 東日本高速道路によると、開業後の年間売上高は従来に比べ約2割増えた。12月中旬には東北自動車道上り線の羽生PA(埼玉県羽生市)で、池波正太郎の時代小説「鬼平犯科帳」の世界をテーマに、江戸の街並みを楽しめる「鬼平江戸処」もオープンさせる予定だ。

 グルメ充実、絶景も

 名神高速道路下り線の大津SAにある複合商業施設「パヴァリエ びわ湖大津」(大津市)は、百貨店のような豊富な品ぞろえが評判だ。西日本高速道路が4月に開業した。

 延べ床面積は約3000平方メートル。関西の豚まんの有名店「551蓬莱」や地元牧場の牛乳を使ったスイーツ店、土産物店などが入居し、レストランとフードコートでは近江牛の鉄板焼きといった人気料理を味わえる。3階の展望デッキからは琵琶湖や比叡山の景色を楽しめる。

 施設を運営する近畿日本鉄道の担当者は「食事や買い物を目的に、百貨店のように時間をかけて過ごすお客が増えた」と話す。

 民営化で2005年に発足した高速道路各社は、通行料金収入を借金返済や維持管理費などに充てなければならないため、SAやPAからの収益を重視している。魅力を高める取り組みは今後も広がり、ドライブの楽しみが一段と増えそうだ。(SANKEI EXPRESS

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