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城の白壁に隠されたダビンチ大作 天井画から続く可能性

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城の白壁に隠されたダビンチ大作 天井画から続く可能性

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イタリア・ミラノの観光名所、スフォルツァ城  レオナルド・ダビンチ(1452~1519年)が約500年前に描いた大きな桑の木の天井画で有名なイタリア・ミラノの観光名所、スフォルツァ城の「アッセ(板張り)の間」の壁の塗料の下に、ダビンチが描いたとされる壁画が隠れていることが11月17日までに分かった。

 修復作業を続けるミラノ市などによると、天井画から続く桑の木の幹や多くの太い根が四方の壁全面に描かれている可能性が高いという。天井画とあわせた全体像を明らかにしたうえで、ミラノ市では2015年5月1日のミラノ万博の開幕に合わせ、一般公開する考えだ。

 仏が征服、未完に

 「今回の修復作業は、これまでのダビンチの仕事を完全に理解するための非常に重要なものである」

 10月28日付米ネイチャー系テレビ局のニュース部門、ディスカバリー・ニュースは、ミラノ市の文化評議員、フリッポ・デル・コモ氏のこんな説明とともにこのニュースを解説した。

 今回の発見は、イタリアの通信社の一報を受け、10月24日付英紙デイリー・メール(電子版)など、欧米メディアが順次、報じた。それによると、別の壁画は修復作業中、17もの塗装の層の下から見つかった。まだ一部分しか露出していないが、太い木の根が岩を貫くさまが描かれている。壁画は彩色されておらず、下絵段階とみられる。

 ディスカバリー・ニュースは「壁画は薄い汚れの層に覆われているが、われわれのクリーニングテストによると、簡単にきれいにできることが判明した。壁画は無傷だろう」との修復担当者の見方を伝えた。

 ダビンチは1498年、当時のパトロンでミラノを統治していたミラノ公爵、ルドヴィーコ・スフォルツァ(1452~1508年)の依頼で、「板張りの間」の天井に、要所の枝を金色のロープで結んだ16本の桑の木をデザインした装飾画を描いた。この部屋は各国大使を迎える応接室として使われた。

 しかし1499年、フランスがミラノを征服し、公爵を追放・幽閉したため、壁画の部分までは完成せず、1706年に「板張りの間」は、当時、ミラノを統治したオーストリア軍の厩舎(きゅうしゃ)となり、この頃、壁画は白い塗料で塗りつぶされたとみられる。

 大部分は修復可能

 スフォルツァ城は19世紀末、イタリア統一運動によって、ようやくミラノ市の所有に戻り、文献に基づく調査から「板張りの間」の天井画が発見されたが、壁の部分には白い塗料の上から木の板が張られてしまった。

 壁画に関しては、1954年の修復作業で、部屋の北側にある壁の一部に木の根などを描いた絵が発見されただけで、他にはないとされていた。

 壁画は現在、修復担当者が塗装の層を注意深くこすり取る作業を続けているが、今後、さらなるハイテク技術を駆使して完全な形で復元する考えで「幾重もの白色塗料に隠れた壁画の大部分は修復可能」という。

 ダビンチは1482年から99年までミラノに滞在し、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会には代表作の一つ「最後の晩餐(ばんさん)」の壁画を残している。遅筆で知られたダビンチだが、今回の壁画の発見は「芸術に完成はない。ただ放棄されただけだ」という彼の名言を具現化するものともいえそうだ。(SANKEI EXPRESS

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