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【中国山西省爆発事件】手製の不満爆弾 習政権のメンツ潰す 庁舎前で連続爆発、1人死亡

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【中国山西省爆発事件】手製の不満爆弾 習政権のメンツ潰す 庁舎前で連続爆発、1人死亡

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 中国でまたテロの可能性がある事件が起きた。国営新華社通信などによると、北部の山西省太原市にある共産党山西省委員会の庁舎前で11月6日早朝、連続爆発が起き、1人が死亡し、8人が重軽傷を負った。現場からは鋼鉄の玉やくぎ、電子基板が見つかっており、手製爆弾が使用されたとみられる。公安当局は、政府や党に不満を持つ人物による犯行の可能性があるとみて、本格的な捜査に着手。香港の中国系紙、大公報(電子版)は、治安当局が容疑者1人を拘束したと伝えた。

 鉄鋼球やくぎ散乱

 中国では10月28日に北京の天安門前でウイグル族とみられる3人が乗った車が突入し炎上する事件が起きたばかり。少数民族への抑圧的な政策に続き、格差拡大や不正横行に対する不満が相次いで爆発した可能性があり、習近平指導部に与えた衝撃は大きい。

 爆発は午前7時40分(日本時間午前8時40分)ごろ、7回連続して起きたもよう。現場では爆発音とともに閃光(せんこう)や煙が目撃された。付近には割れたガラス片などが散乱。パチンコ玉のような小さな鋼鉄球が多数散らばっていた。

 現場は太原市の中心部にあり、爆発当時、庁舎前の迎沢大街を通行する車両などで混雑していた。中国メディアによると、爆発の被害は周囲約100メートルに及び、約20台の車が巻き込まれたもよう。

 香港の中国系紙、香港商報は、最初の爆発は庶民の陳情を受け付ける党の「信訪局」の前で起きたとしている。新華社通信が、目撃者の話として庁舎のゲート付近でミニバン1台が爆発したと伝えたほか、施設付近の植え込みで爆発が起きたとの情報もあり、錯綜(さくそう)している。

 格差、不正横行…

 党や政府に不満を持つ勢力による「テロの疑い」(香港メディア)の一方で、地方政府と住民のトラブルの可能性もある。炭鉱業が盛んな山西省は貧富の格差が最も大きい地域の一つであると同時に、開発に伴う土地収用や環境汚染をめぐる衝突が多発しているためだ。

 2009年10月には、炭鉱の採掘権をめぐる争いを発端に暴力団員ら約200人が住民を襲撃、4人が死亡する事件が起き、背後に当局者の関与が指摘された。炭鉱で多数の作業員が死亡する事故や賃金未払いなども頻発。利益優先で結託した当局と事業経営者に対する、住民や労働者の不満が高まっている。

 中国では、共産党の重要会議である第18期中央委員会第3回総会(3中総会)が9日から北京で開かれる。先月(10月)28日に起きた天安門前での車突入事件を受け、郭声●(=王へんに昆)公安相が現場で陣頭指揮を執るなど各地で警戒態勢を強化していた。

 その最中に今回の事件が起きたことで、習指導部はメンツを潰され、権威失墜の危機に直面している。党内の主導権争いも絡み、指導部の責任を問う声が出る可能性もある。さらに治安当局が、全国規模で治安態勢を一段と強化するのは確実だ。当局による国民への締め付けが「不満爆発」の連鎖を招く恐れがある。(SANKEI EXPRESS

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