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スイスワイン 活路求め日本へ

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スイスワイン 活路求め日本へ

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 高い品質で知られつつ、ほとんどが国内で消費されるため知名度の低いスイスワインを海外に輸出する動きが活発化している。国内市場が減退傾向のためで、ワイン人気が高い日本市場に活路を見いだす地元メーカーも出てきた。

 国内消費がほとんど

 スイス西部レマン湖のほとりに広がるボー州。歴史あるワイナリーが各地に点在するワインの一大生産地だ。「ここの白ワインはすしや刺し身など日本の料理にとても合います」。ボー州ビュルサンでワイナリーを営むピエール・ブビエさん(48)が胸を張る。

 ブビエさんに勧められ「シャスラー」というブドウ品種を使った白ワインを一口飲むと、軽やかでこくのある味わいが口全体に広がった。

 2000年の歴史を持つとされるスイスワインだが、国土が狭いため生産量は多くない。そのためほとんどが国内で消費され、地元紙によると2012年の輸出量は70万リットル、生産量全体のわずか1%未満だった。しかし若者を中心にアルコール離れが進み、国内のワイン消費量は減少傾向だ。スイスのワインメーカーは生き残りを懸けて輸出強化に方針を転換。業界団体は2020年までに輸出量を生産量全体の5%にまで高める目標を掲げている。

 ブビエさんらボー州のワインメーカー十数人は9月上旬、PRのため日本を訪問。ホテルやレストラン関係者、輸入業者らに自慢のスイスワインを振る舞った。

 「反応は上々だった」。別のワイナリーを経営するレーモン・パコさん(60)が話す。日本への輸出を狙うのは「高品質のワインを理解する洗練された消費者が数多くいるから」だと説明する。

 知名度の低さが壁

 来年、日本とスイスの国交樹立150周年を迎え、日本でスイスへの注目が高まることも商機と捉えられている。

 人件費の高いスイスのワインは、価格では南アフリカやチリなど新興国のワインに太刀打ちできない。そのため徹底的にこだわっているのが「高い品質」だ。中国や英国など日本以外の市場への輸出を狙うメーカーもいるという。

 ただ障壁となっているのがスイスワインの知名度の低さだ。ブビエさんは「日本でもあまり知られていなかった」と嘆く。関係者は海外メディアにスイスワインを取り上げてもらうべく奔走するなど知名度アップへ努力を重ねているが、効果が見えない焦りもにじむ。

 「われわれはあまりに出遅れた。同じくスイスの名物で、既に世界的に知名度の高い時計やチョコレートに比べて」。パコさんが悔しそうに話した。(ビュルサン 共同/SANKEI EXPRESS

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