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「自宅の修理を保険金で賄いませんか」 保険金詐欺から身を守るためのチェックポイント

高橋成壽
高橋成壽

(2)保険金申請代行手数料の請求

 高額な保険金申請代行手数料を請求されるケースもあります。本来、保険金の請求は自分で行うことが前提で手数料を払う必要はありません。しかし、自動車の破損と異なり、家屋の損傷は専門家でなければ調査や判別ができないことがあります。

 そのため、自分では家屋の損傷の認識がなくても、専門会社に破損していると言われ、写真(故意の破損であっても)を見せられれば、納得するかもしれません。このケースは修理業者でなくとも、火災保険金の専門家を自称するような事業者から勧誘されることもあります。

 首尾よく保険金が支払われたら、30%、50%などの保険金申請代行手数料を請求されます。解約しようとすると、違約金と称して同等の解約手数料を請求されることもありますので注意が必要です。

 保険金請求の手順は、まず保険会社に連絡すること。連絡すべきか迷ったら、加入した保険代理店に相談することです。見ず知らずの第三者に依頼するものではないのです。

(3)修理費用の支払いにも関わらず修理しない

 このケースはわかりやすい詐欺です。修理前に費用を支払うことがあってはなりません。前金を支払うにしても、通常は一部を支払います。事業者が前払いを要求するのは、詐欺か経営状態が悪いかのいずれかです。自宅の修理は足場の架設など家族の生活にも影響を与えますから、家族に相談するのが良いでしょう。高齢のご家族がいらっしゃる方は、注意が必要です。

 今回のトラブルはクーリングオフの適用となります。お金を払った場合は戻ってくる可能性は低いですが、契約自体を取り消すことは可能です。また、故意に家屋を壊して保険金を請求した場合は、状況のわからない依頼者自身が保険金詐欺の当事者となる場合もあり、知らずに犯罪に手を染めていることにもなりかねません。

■自宅の火災保険について確認すべきこと

(1)火災保険に加入しているか

 まずは火災保険に加入しているかを確認してください。当たり前のように感じるかもしれませんが、以前の火災保険契約は35年など住宅ローンの返済に合わせた長期契約が一般的でした。

 35年もの間には、保険会社の合併があり、保険代理店の統廃合があり、保険期間が満了していても契約更新ができていない場合があります。

 また、保険証書が住宅ローンの担保として、銀行に預けられている場合もありますので、手元の保険証書を確認してください。保険の期限が切れていれば、自宅が損傷していても保険金の請求はできません。

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