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富士山噴火に伴うハザードマップ更新 問われる地震保険加入

高橋成壽
高橋成壽

 30年前、40年前などに家を立てて住宅ローンを払い終えている場合、地震保険はおろか、火災保険にも未加入のケースがあります。加入の状況がわからない場合、損害保険会社からお知らせが来ていれば、火災保険に加入している可能性が高いです。住宅ローンを払い続けている場合も火災保険に加入している可能性が高いです。ただし、地震保険に加入しているかどうかは別問題です。まずは火災保険の加入を確認、加入している場合は地震保険にも加入できているか確認しましょう。

 地震保険は火災保険の補償額の50%までしか契約できません。(※上限あり。3000万円の火災保険であれば、地震保険の上限は1500万円です。建物が全壊したとしても地震保険では再建築することはできません。あくまでも生活再建の資金となるに過ぎません)

■政府に求められる自助努力のサポートとは?

 噴火については、平成26年に御嶽山、平成3年に雲仙岳で災害が発生しています。噴火が身近にあっても災害は身近でないという状態と考えられます。

 このような状況にあって、まずは地震保険の対象が地震だけでなく、津波や噴火も含まれているという情報発信が必要でしょう。

 また地震保険の契約については、火災保険のオプションとしてだけでなく、地震保険単体での加入を可能にする必要があると考えます。

 地震保険の内容については火災保険の50%を上限とせず、100%満たせるような契約条件になるよう制度設計が必要ではないでしょうか。災害が起こってから政府が対応するのでは時間もお金もかかります。自宅の保険は自己責任ですが、個人で加入しておけば住宅ローンも完済できますから、生活再建しやすいでしょう。

 地震保険の普及を促す意味では、地震保険料控除の枠を増やすと効果が高いでしょう。上限の引き上げや、保険料の倍額を所得控除するなど減税と引き換えに普及を促すことが自助の拡充に繋がります。

高橋成壽(たかはし・なるひさ)
高橋成壽(たかはし・なるひさ) ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
寿FPコンサルティング株式会社代表取締役
1978年生まれ。神奈川県出身。慶応義塾大学総合政策学部卒。金融業界での実務経験を経て2007年にFP会社「寿コンサルティング」を設立。顧客は上場企業の経営者からシングルマザーまで幅広い。専門家ネットワークを活用し、お金に困らない仕組みづくりと豊かな人生設計の提供に励む。著書に「ダンナの遺産を子どもに相続させないで」(廣済堂出版)。無料のFP相談を提供する「ライフプランの窓口」では事務局を務める。

【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら

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