令和3年3月26日に富士山火山防災対策協議会が開かれ、富士山ハザードマップの改定について概要が公開されました。日本では各地で火山活動が継続している活火山や島があります。歴史的にも富士山の噴火は大きな被害をもたらしてきました。今回のハザードマップの改定をきっかけに、私達の生活で気をつけるべきことを考えていきます。
■噴火の被害は多岐にわたる
火山の噴火に直面したことのない人でも、火山の周辺で展開される自然のエネルギーを観光で目の当たりにしたことのある人は多いのではないでしょうか。富士山に近い火山として神奈川県と静岡県に位置する箱根山の大涌谷(おおわくだに)では、火山の熱を利用した温泉や黒たまごという温泉卵が販売されています。噴煙の状況によっては一部立入禁止になりますが、地域資源として活用されています。
富士山ハザードマップによると噴火に伴う現象として、溶岩流、火砕流、融雪型火山泥流、なだれ、火災物の噴出、降灰などがあります。富士山近隣でなくても到達する降灰は、健康被害の恐れも指摘されています。
降灰の影響は普段生活していると感じることが難しいのですが、10センチ積もると降雨時に土石流が発生、30センチ積もると降雨時に木造の建物が全壊する恐れ、50センチ積もると3割の木造家屋が全壊すると考えられています。
健康被害の懸念が生じる降灰範囲は東京、神奈川、千葉、埼玉、山梨、静岡の各都県です。建物全壊の恐れが出てくる地域は東京都下の他、神奈川、山梨、静岡の各県となります。
今回富士山の噴火に関するハザードマップですが、北海道から九州まで日本には活火山がたくさん存在します。例えば鹿児島に行けば地面には薄っすらと白い降灰が確認され、桜島から噴出されたものだとわかります。
近年の日本では歴史に出てくるような大噴火が起きていません。数百年に一度の大災害への備えは、一生のうちに起こるかどうかもわからず、地震のように備えができている人は少ないでしょう。
■お金の面で考えておくこと準備できることは?
富士山の噴火に備えるためにできることは何でしょう。リスク回避を考えるときに一番わかりやすい方法は、富士山噴火の影響が届かない地域に住むことです。関東南部の人であれば、北関東に住むことができれば、いざ噴火となった場合でも、必要最小限の対策で住みます。
この考え方は、東日本大震災や近年の豪雨災害に伴い、転居を促す政策が実施されていることからわかるように、効果が明確です。災害が発生しない地域に避難すれば、被害も発生しないのです。
ただ、富士山噴火に備えて集団で事前に避難するとなれば、数千万人が移動することになります。全く現実的では有りませんし、費用の負担からも非現実的です。今後住まいを探す人には、従来の災害ハザードマップだけでなく、富士山ハザードマップの確認も必要になります。
住まいは今のままで、財産を守ることを考えるならば保険をかけておくことが必要です。自宅が噴火の被害を受けた場合、火災保険でどの程度の補償を受けられるでしょう。
正解は、「火災保険では噴火の補償はされない」となります。実は噴火は火災保険の対象外です。従って、火山灰が積もって家屋が全壊しても保険金を受け取ることはできません。ですから、火災保険を契約しておけば安心ではないのです。
噴火に備える保険として地震保険があります。名前から噴火は対象外のように見えるのですが、地震保険は「地震、津波、噴火」による家屋や家財の被害を補償する保険です。
あなたの自宅の保険は地震保険に加入していますか? もしかすると、築年数の古い家ですと、火災保険にも加入していないケースもあるようです。地震保険は火災保険のオプションとして一緒に契約する必要があります。