クルマ三昧

日産復活の狼煙は意表を突くレトロモダン 次期「Z」に込められた狙いとは

木下隆之
木下隆之

 新型「フェアレディZプロトタイプ」が自動車業界の話題を独占している。会場のスペースの都合と秘匿の関係があり、ごく少人数に限ってのプレミアだったが、発表と同時に瞬く間に情報は拡散された。

 熱視線を浴びる2つの理由

 なぜこれほど多くの人々が関心を寄せたのか…。大きく分けて理由は2つあると思う。1つは、日産復活に向けて、矢継ぎ早にニューモデルを発表していることだ。カルロス・ゴーン時代に開発がことごとく制限された。その代償はあまりにも重く、魅力的なモデルを発売できなかった。一般的なモデルサイクルが4年から7年だというのに、日産はダラダラと10数年もの長く現行モデルをショールームに飾り続けてきた。新鮮味が薄れ、技術的に取り残されるのは道理で、販売は低迷した。それを打破すべく、新しく社長兼CEOとなった内田誠体制で、復活のプランを発表。「今後18カ月で12のニューモデルを発表する」(2020年5月)としたのだ。その後、コンパクトSUV市場に「キックス」を投入。近未来EV「アリア」も披露した。手を緩めずに「フェアレディZプロトタイプ」を発表したのだ。注目された理由はまずそこにある。

 そしてもう1つの理由は、その次期フェアレディZが、驚くほどレトロモダンであることだ。歴代のフェアレディZのオマージュは色濃い。まるでレトロなパイクカーであるかと見紛うばかりの設計なのだ。

 全体のシルエットは、歴代のフェアレディZが紡いできたように流麗なもの。ロングノーズショートデッキスタイルを踏襲している。ヘッドライトは、1970年代に一世を風靡したS30型フェアレディ240ZGの面影を意識的に表現したという。長方形のラジエターグリルも伝統に忠実に再現されている。造形を複雑にくねらせるという流行に逆らってまでも、伝統を優先している。

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