老後資金2000万円問題に置き換えて考えてみる
令和元年の金融審議会市場ワーキンググループによる報告書では、老後資金2000万円を計算するのに、年金収入19万円、生活費26万円とありました。現在の所得代替率を60%とし、これが50%、40%に低下していく場合、どのような資金繰りとなるのでしょうか。
いかがでしょう。直視できないほどの金額になっていませんか? 少なくとも筆者は自分で用意できる気持ちになりません。
2000万円どころか6000万円必要です。しかも、この数値には介護費用などは含まれていないのです。もし政府がこのような試算結果を出してしまえば、大変なことが世の中で起きてしまうかもしれませんから、容易に試算もできません。
将来の年金減に備えて投資は必須
老後資金が2000万円~6000万円といわれてもピンとこない人が多いでしょう。では、30歳から60歳まで30年間で貯めようと考えた場合はどうでしょう。2000万円貯めるには毎月5.6万円×360カ月が必要です。6000万円貯めるには毎月16.7万円の積み立てが必要になります。日々の生活を送りながら、毎月5万円以上、17万円近く積み立てることはほとんどの場合できないでしょう。
従って、生き残るには投資するしかありません。毎月3万円を30年間積み立てた場合(運用利率5%)、30年後に2392万円になります。これを5%で運用しながら取り崩すと総額で4664万円受取ることができます。
このように考えると、少額で構わないので一日も早く積み立てを始めることが大切になります。今回の試算のように30歳からではなく25歳から積み立てを始めればその分含み益も増えますから、受取総額も増加します。まずは少額でもいいので積み立てを始めてみましょう。動き始めてわかることもたくさんあります。未来の自分を救うのは自分自身だと肝に銘じましょう。
【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら