グローバルリーダーの育て方

「アップルが赤い」と話す子 バイリンガルは日本語も英語も中途半端になる?

龍芳乃
龍芳乃

 私のことを良く知る兄弟や仲の良い友だちは「芳乃が論理…的…??」と、失笑するかも知れません。そんな時に私は、「論理よりも情熱があふれているのよ」と笑顔で返します。

バイリンガルは柔軟な頭脳をもたらす

 バイリンガルにはメリットがたくさんある。私は密かにそう信じています。

 最近の研究からバイリンガルやマルチリンガルについて多くのメリットが明らかになっています。アメリカの科学雑誌「サイエンティフィックアメリカン」のWebサイトには「The Bilingual Advantage」というレポートが掲載されています。(日本語でしたら、日経サイエンスの別冊「認知科学で探る 心の成長と発達」で読めるようです)。

 私の訳ですが、こう書いてあります。

「小さい時から多言語で子供を育てると、言葉の発達だけではなく、いろいろなものの理解カを促す、ということがわかってきた。それは、心の柔軟性を育て、抽象的な思考カを高め、問題解決や学習に必要な記憶カを鍛えるという利点がある」

 当初、多民族国家のアメリカでも、バイリンガルの子供は言語的発展や混乱が引き起こされると考えられていたそうです。そのためか、アメリカで2カ国語以上を流暢に話せるのは、わずか9%。欧州は50%近い!(参考:同レポート)

 ところが、バイリンガル研究が進むにつれて、バイリンガルの子供は脳が二つの言語を話していることをしっかりと理解していて、脳の混乱が起きてはいないということがわかってきました。それどころか、柔軟な脳を形成していることがわかってきたのです。操れる言語が増えるごとに、ものの捉え方や表現の仕方、分類の方法が増えていくのです。

 思考は言語でパワーアップ、多様化します。操れる言語が増えるごとに、ものの捉え方や表現の仕方、分類の方法など伴って増えていきます。

我が子が「appleが赤い」と話したら…

 ただ、親御さんが「日本語がおろそかにならないか」と心配してしまう気持ちはわかります。「お母さん、今日science classでpresentationしたよ!」とお子さんが話していたら、「うちの子、大丈夫かしら?」と思ってしまうのは自然です。

 いろいろな言語をごちゃまぜに使うお子さんには、年齢ごとに対処や対策が異なります。例えば、2歳児が「appleが赤い」と話したら、「日本語で話しなさい!」と叱るのは逆効果です。日本語を強化するためには、「りんごは赤いね」とすかさず言い換えてあげるだけで十分です。しかし、中学生が「appleが赤い」と話してきた場合は、「日本語だけで話してみようよ」と促してあげることが重要です。

 マルチリンガル(多言語)を操るということは、とても脳を使います。でも、日本語でも同じようなことはしています。例えば、親戚で集まった時、自分の義理の親に対しては敬語で話しますね。夫婦ではタメ口、お子さんには簡単な言葉、耳が遠いおじいちゃんには声を大きくしてシンプルな言葉を選びますね。日本語でも私たちは言語を使い分けているのですから、多言語も同じです。

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