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「学生寮に住む」という選択肢 設備充実、食費込みや家電リースも

ニュースカテゴリ:暮らしの生活

「学生寮に住む」という選択肢 設備充実、食費込みや家電リースも

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学生会館や学生寮は食堂などの共有スペースがあるため、入居者同士の交流が深まる=神奈川県藤沢市のドーミー湘南台  大学進学を機に実家を離れる学生も多い。子供への親の仕送りで大きな割合を占めるのが住居費だ。学生の場合、一般の賃貸住宅のほか、学生会館や学生寮など学生専用の施設という選択肢もある。食事の提供などトータルで考えると、一般賃貸物件より安く済むケースもある。

 安心感も

 神奈川県にある鎌倉女子大学2年、市川怜奈さん(20)は同県藤沢市にある学生会館「ドーミー湘南台」に入居している。「1人暮らしは不安だった。学生会館は違う大学の友達もできて楽しい」と話す。

 個室には、バス・トイレが付き、キッチン設備もあり、1人暮らし感覚だ。だが、会館には食堂があり、朝食や夕食を取ることもできる。門限は午前零時、来客がある場合は事前に届け出が必要などのルールはあるが、「1人暮らしだと友達を呼んで遊んでしまっていたかもしれない。自分の時間をつくって勉強しやすい環境です」。

 寮母と寮長が住み込みでいることも安心につながっている。「毎朝、出掛ける時間には玄関にいてくれて挨拶できる。それだけでも安心できます」と市川さんは話す。

 学生専用の住まいは、学生寮、学生会館、学生専用賃貸といったタイプがある。学生寮と学生会館は同じ意味で使われることが多いが、大学が運営に関わっているのを学生寮、企業が運営しているのが学生会館といわれることが多い。学生寮ではその大学に通う学生だけが入居するが、学生会館ではさまざまな大学の学生が入居する。

 不動産・住宅総合情報サイト「SUUMO」の池本洋一編集長は「学生会館や学生寮は一緒に暮らす学生との交流が自然発生的に生まれる。人脈づくりにもなるし、管理人がいれば親にとっては安心感がある」と話す。

 食生活も安心

 学生専用物件はさまざまあるため、どのようなキャンパスライフを送りたいかで選ぶ。設備も個室にバス・トイレ、キッチンが付いたものなど多様だ。食事も朝夕提供される場合もあれば、自由に食堂を利用できるケースもある。食堂などの共有スペースを通じて学生同士の交流を深めることもできる。

 生活を始める際の初期費用が一般の賃貸物件に比べて安く済むことが多いのも魅力だ。基本的にベッドや机などの最低限の家具は備え付けられている。家電もリースで利用できる施設もある。

 子供の1人暮らしで親が気になるのが食生活。しかし、食事が提供される施設なら安心できる。管理人が常駐する施設なら病気のときやちょっとした困りごとなどが相談できる。

 費用は施設やサービスによってさまざまで、光熱水費は各自が負担する場合などもある。学生会館運営大手の共立メンテナンス(東京都千代田区)によると、同社の学生会館で首都圏の場合、食事込みで月8万~10万円前後。このほか、ガスや水道料金などとして年間管理費が約20万円かかるという。

 池本編集長は「門限などのルールはあるが、栄養を考えた食事が出るし、コストが安い物件もある。安心感などを含め、トータルでどう考えるか。個室にバス・トイレが付き、コミュニティーの安心感を得られつつ、プライベートも守れる物件も多いです」と話している。(油原聡子)

 ■ジム完備、留学生と交流など個性的な寮も

 大学が運営に関わる学生寮も最近は個性的な施設が出てきた。

 拓殖大八王子キャンパス(東京都八王子市)内の「カレッジハウス扶桑」はサウナやジェットバスを備えた大浴場やトレーニング機器のそろったジムを完備。費用は月5万8千円(個室の光熱費は別)で、同大担当者は「敷地内立地で、時間の有効活用にもなる。キャンパスの都心回帰が続く中、大学の魅力を感じてもらう一つの方法」と話す。

 グローバルな人材育成のための「寮内留学」は留学生と日本人学生が共同で生活することで、国際感覚を醸成する。

 国際教養大(秋田市)は入学から1年間、全員が留学生も入居する「こまち寮」で過ごす。中央大や立命館アジア太平洋大など留学生と生活できる寮は多く、建設に乗り出す大学は相次いでいる。

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