自動車リサイクル 再資源化率99%を達成
更新使用済み自動車は有価物として取引される鋼板、電気系統の配線類(ハーネス)の銅線などを多く含んでいるため、自動車解体処理は採算の合う事業として定着してきた。処理が難しいのはカーエアコン用のフロン類を含む冷媒、火薬を使用したエアバッグ、プラスチックなどを含むシュレッダーダスト(ASR)の3品目で「特定品目」とも呼ばれる。徴収されたリサイクル料金の多くが、特定品目の回収・運搬、リサイクル費用として使用される。
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■次世代の産業システムのモデルに
自動車リサイクル法の制度では、廃自動車を引き取る業者、フロン類回収業者、解体業者(エアバッグ回収)、破砕業者をそれぞれ都道府県知事が指定。回収した資材を自動車メーカー、輸入業者、指定再資源化機関に集め、徹底したリサイクル、最終処分が行われる。
特定品目の処理にいたる一連の工程は、自動車リサイクル促進センターで電子情報として管理されている。これは日本独特の徹底した自動車登録制度をベースに構築されており、世界初の仕組みだ。リサイクル料金の一部はこうした情報管理、資金管理料金としても活用される。
法体系の整備から15年が経過し、自動車メーカーではよりリサイクルしやすい設計を志向しつつある。また処理を担う業界側も設備投資を積極化している。今後は、熱エネルギーとして回収していたものを素材として活用するなど、リサイクルの高度化が期待される。使用済み自動車からまだ使用可能な部品を取り出し、修理などで活用する仕組みも構築された。資源の乏しいわが国にとって、自動車リサイクルの推進、さらなる高度化は、環境負荷の低減以上に次世代の産業システムの姿を示しているようだ。