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汚染水に総力戦 新型浄化装置など初公開 福島第1原発

ニュースカテゴリ:社会の事件・不祥事

汚染水に総力戦 新型浄化装置など初公開 福島第1原発

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汚染水貯蔵タンクのストロンチウムの濃度を低減させるモバイル型ストロンチウム除去装置=16日午後0時13分、福島県大熊町(代表撮影)  東京電力は16日、福島第1原発で、汚染水から放射性物質を取り除く新型の浄化装置や、汚染水の増加を抑えるため地下水をくみ上げる「サブドレン」を初めて報道陣に公開した。汚染水対策に東電は総力を結集して取り組んでおり、一定の効果も出ている。

 タンクがぎっしり立ち並ぶ光景は今も変わらず、1日数百トンずつ増える汚染水は計約36万トンになった。放射線量が高い汚染水のリスクを低減させることが最優先の課題であり、全量を来年3月末までに浄化装置で処理する目標がある。

 この日公開された新たな浄化装置は「モバイル型ストロンチウム除去装置」。汚染水の中でも特に多い放射性物質であるストロンチウム90を取り除けば大幅に放射線量が下がる。今月2日から稼働、濃度は最大千分の1まで低減できる。

 汚染水の“切り札”とされる高性能な「多核種除去装置(ALPS(アルプス))」も公開された。この日に原子力規制委員会の使用前検査も行われ、今月中旬には試験運転を開始するめどが立つ。東電担当者は「これまでのALPSより廃棄物が9割軽減でき、処理量も倍になる」と期待する。

 増設したアルプスや既存のものを含めると、1日当たり最大で計2千トンの汚染水処理が可能。サブドレンなどが本格稼働すれば、最大1日約400トン増え続ける汚染水も半分になる。

 第1原発の小野明所長(55)は「汚染水をきれいにしようということでやっている。廃炉と汚染水は2本立てで一生懸命やっていく」と語った。(天野健作)

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