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変形ロボ投入、秋にもデブリ初確認 福島第1、「廃炉作業、円滑に」

ニュースカテゴリ:社会の事件・不祥事

変形ロボ投入、秋にもデブリ初確認 福島第1、「廃炉作業、円滑に」

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 政府や東京電力が、福島第1原発事故で溶け落ちた燃料(デブリ)を直接確認するための作業を早ければ今秋にも実施することが7日、分かった。高線量のため作業は、直径約10センチの格納容器の貫通部を通して、自在に変形するロボットを投入して調べる。デブリの取り出しは廃炉の最難関の作業だが、直接デブリを確認できておらず、政府は位置などを把握することで、30~40年かかるとされる廃炉作業の加速化を目指す。

 ロボを開発したのは日立製作所などで、国際廃炉研究開発機構(IRID)の研究として検証作業を進めている。IRIDの伊藤滋宏(しげひろ)総務部長は「まずデブリの位置を把握し、廃炉作業が円滑に進むことを期待したい」と説明する。

 炉心溶融(メルトダウン)は1~3号機で起きた。当初は1号機に直径55センチの貫通部があり、内部へ小型のロボを投入できると見込んでいたが、周囲は放射線量が高く、ロボを運ぶ作業員すら近づけず、別の貫通部へと狙いを変えた。

 ただこの貫通部は10センチと狭く、蛇状にして貫通部をくぐらせ、格納容器内で約30センチ程度に広がるロボ(重量約7・5キロ)を活用。夏までに機能の実証試験を終えるが、IRIDなどは原子炉内部に投入が可能との判断を固めた。試験通りに進めば、初めてデブリの映像撮影に成功する。

 福島第1原発では、事故後3年以上たっても、デブリの位置や形状がまったく分かっておらず、廃炉の最大の障害となっている。

 政府などが作成した廃炉工程表では、平成32年にデブリの取り出しを始め、早くて20年以上先となる平成47年ごろの完了を目標としている。しかしデブリを長期間そのまま置いておくことに、福島の住民からの反対意見が多く、廃炉工程の短縮化が求められている。(原子力取材班)

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 ■燃料デブリ 冷却機能を失った福島第1原発では燃料が溶融し、冷えて固まった。圧力容器を抜け、格納容器下部まで溶け落ちたとみられる。デブリの影響で、1号機の原子炉建屋内部では最大毎時5150ミリシーベルトを計測。数時間程度浴び続けると人が死ぬレベルになる。デブリは「破片」「残骸」の意味で、宇宙に漂う破片は「スペースデブリ」と呼ぶ。

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