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都道府県の魅力度って何? 法的措置、言論の自由の否定…ランキングめぐる舌戦の行方は

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 茨城県「うちの魅力を発信するだけだ」

 実は都道府県魅力度ランキングは、ブランド総合研究所が全89項目について行っている調査のほんの一部でしかない。1位から47位までの各都道府県の順位がすべて公表されているのは「魅力度」の項目のみ。1047自治体を対象とし、全調査結果を一覧表形式でまとめ、総合的な分析を加えた結果は「総合報告書」(8万1400円=税込み)だけで知ることができる。観光意欲度や居住意欲度などではなく、「魅力度」のランキングだけがメディアに取り上げられる形となり、自治体からは「お金を払わないと他の調査項目が見られないというのは国民の誤解を招く。客観性と公平性はどうなのか」(栃木県)といった不満の声も。「魅力度」の順位が、あたかも都道府県の総合力を示す指標として「独り歩き」していると警戒する自治体関係者は少なくない。

 「茨城県の県民所得は全国で6位。人が魅力と思うのはさまざまなのに、それを評価して順位付けをするというのはどうなのか」。7年連続で最下位という不名誉な記録を持つ茨城県は、前年42位に浮上したものの今年は再び最下位に転落。県営業戦略部の担当者は魅力度ランキングのあり方を疑問視する。

 研究学園都市のつくばや外国人観光客にも人気の国営ひたち海浜公園などを擁し、水戸納豆やアンコウなど食材も豊かなだけに、「民間企業がやっている調査で、これだけが魅力を測る指標ではない。うち(茨城県)が持っている魅力を発信していくだけだ」と担当者。ある意味、泰然としている。

 「ランキングは魅力度を反映しておらず、信頼度が低い。知事としてスルー(無視)できない」とヒートアップした群馬県の山本知事とは対照的だ。もっとも、山本知事は「発表することを押さえつけるというものでもない」とも述べ、話題になった発言は「ランキングがずさんだと分かってもらうための方策として有効ならば、それ(法的措置)を検討する」というのが真意だったとしている。県戦略企画課の担当者も「必ずしも法的な手段を取るわけではない。現状は選択肢の一つとして検討している」と解説する。

 魅力度ランキングが含まれる「地域ブランド調査」は2006年から始まり、今年で16回目。当初は市区町村別の魅力度ランキングだったが、2009年から都道府県も加わった。

 同社によると調査は今年7月、全国の20~70代の男女を対象にネットで実施。3万5489人の有効回答が集まった。1人の回答者にすべての都道府県の魅力度を尋ねるわけではないため、ひとつの都道府県ごとの回答者数は平均で約1020人となる。栃木県の福田知事が昨年、「数を増やすべきだ」と要望したことも踏まえ、回答者数は「前年の約620人から引き上げて精度を上げた」と田中社長は胸を張る。

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