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アマゾンがもたらす?置き配格差 「神様で無くなった世界」で起こり得ること

 だが置き配に否定的な利用者の場合、何かトラブルがあればクレームにつながりやすく、自身で置き配をスムーズにするような工夫もしないので、トラブルの発生頻度も高くなる。事業者にとっては、あまり付き合いたくない顧客ということになるだろう。

 そうなってくると、アマゾンのような事業者は、置き配に積極的でトラブルが少ない利用者の優遇を強化する可能性が高い。場合によっては価格やポイント、各種キャンペーンでの優遇に差をつけることも十分に考えられる。

 置き配をフル活用できる利用者は、時間を有効に使えるので、自身の生活も効率化され、しかもリーズナブルに商品を購入できる。一方、そうでない利用者は時間が有効に使えず、高い買い物を強いられてしまう。置き配の普及は、一種の経済的、社会的な格差すら引き起す可能性があると筆者は見ている。

 筆者自身は、「お客様は神様である」という言葉はあまり好きではないが、消費者はそれなりに事業者に要求してもよいと考えている。だが、利用者は謙虚であるべきという今の日本社会の声が正しいものであるならば、置き配を選択しない利用者が不利に扱われることに不満を言うのは、アンフェアということになるだろう。(ITmedia)

加谷珪一(かや・けいいち) 経済評論家
 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。 著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。

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