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アマゾンがもたらす?置き配格差 「神様で無くなった世界」で起こり得ること

 現在、日本では深刻な人手不足から、配達業務の持続可能性が議論となっている。ネットでは「お客様は神様ではない」「サービスを受けたいなら対価を払うべきであり、安いサービスはそれなりの品質でよい」「再配達などで配達員に負荷をかけるべきではない」との声が多いように見受けられる。

 アマゾンにとってもそれは同様であり、同社は置き配こそが「お客様は神様」ではない時代における、最適な配達方法と考えているに違いない。

 実際、使って見ると分かるのだが、置き配の効果はあまりにも絶大である。手渡しによる配達と比較すると、その効率の良さは比較にならない。荷物の配達時間を気にしながらスケジュールをやりくりしていた頃と比べると天と地ほどの差がある。ネット上で実際に利用した人の声を見ても、多くが置き配の効率の良さを絶賛している。

 これは事業者にとっても同様で、基本的に再配達がなくなるので、従来とは比較にならないレベルで配達員の負荷は減ることになる。多治見市の実証実験も、圧倒的に効率がよいという結果になるのはほぼ間違いない。

 だが、日本において、このサービスが本格的に普及するのかはまた別問題である。先ほどネットの声は圧倒的に置き配を支持するものが多いと述べたが、それはあくまで置き配を積極的に選択し、それを体験した人の意見である。

 置き配に関する記事の一般的な反応を見ると、置き配には否定的な利用者が多いように見える。また広く置き配が普及すれば、一定確率で荷物の紛失などトラブルが発生する可能性が高く、一部の利用者はアマゾンに対して激しいクレームを付けるだろう。こうしたトラブルがネットで拡散し、一種の社会的ヒステリーを起こす可能性は否定できない。

 不利益受けると「クレーマー化」する日本人

 結局のところ日本人の多くは、自分に利害関係がない時には「お客様は神様ではない」「利用者は謙虚になるべきだ」ともっともらしい主張をするのだが、自分に不利益が発生すると、人格が豹変しクレーマーになってしまう。

 アマゾンがどこまで置き配を標準形にするのかは実証実験の結果次第だが、筆者は最終的に、積極的に置き配を選択する利用者と、置き配を望まない利用者に二極化すると見ている。置き配を積極的に選択する利用者は、一定のリスクを織り込んでいるだろうし、荷物の置き場所に工夫を凝らすなど知恵を絞っている人も多い。このためトラブルも少なく、利用者と事業者が共にメリットを享受できる。

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