車両価格1億円の超高級車?
SORAの車両価格は1億円ということですから、2000~3000万円が多い路線バス向けの従来型車両と比べてしまうと、とんでもない高級車というべきで、良くて当たり前かもしれません。
しかし、FCバスとして国内で初めて型式認証を取得し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京を中心に100台以上の導入を予定しているトヨタにしてみれば、あくまで燃料電池(FC)モビリティ開発普及のための採算度外視での事業という位置づけに違いありません。少なくとも本格的な普及段階においては、量産効果も含めより現実的な車両価格にすることを計算しているはずです。その点はトヨタの一般向けの燃料電池自動車『MIRAI』とも重なる点で、補助金等行政の推進施策とメーカーの企業努力で、政策的に燃料電池車の普及に向けて取り組んでいる最中ということになるかと思います。
少子高齢化、人口減少社会で脚光を浴びるバスインフラ
あらためて考えてみると、日本人の鉄道信仰というのはすごいものがありますよね。特に大都市圏で鉄道を通勤通学の足として使ってきたエリアでは、すべての日常が駅から駅への移動を前提にされてきました。それもこれも明治以来、毎日大量の人々を正確なダイヤで安全に粛々と移動させてきた日本が誇る鉄道インフラの素晴らしさに他なりません。
ただし、日本も少子高齢化、人口減少が大前提の時代に入り、もはや巨額の投資をして新たな鉄道路線をイケイケどんどんで増やしていくわけにはいかないことは誰の目にも明らかな状況です。実際、各地に長年実現のメドがたたない鉄道新路線の棚ざらしが多く見受けられるようになりました。ここは、やはり発想自体を転換して、バスのように低コストで新設やダイヤの柔軟性が高い公共交通インフラにも目を向けてみる価値があるはずでしょう。快適なバス路線の前提となる道路インフラも各地でずいぶん蓄積がすすみましたし、東京や大阪等大都市圏での慢性的な渋滞も高度成長期やバブル期に比べれば沈静化しており、バスインフラの現実感は増しているようにも見受けられます。
実際に、スマートシティのコンセプトのもとで、BRTなどバスを使った公共交通網の整備にチャレンジする自治体も増えつつあります。