マック躍進、米国流決別が出発点 「V字回復」にカサノバ社長の発想転換
更新幹部会議は日本語
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カサノバ氏には通訳が常時つくため、幹部会議は基本的に日本語で行われる。意外なことに、米本社との意思疎通を重んじた原田泳幸前社長時代と比べ、英語での会議は減ったという。
「原田さんは、良くも悪くもトップダウン。現場(店舗)にもあまり姿を見せず、組織の風通しは決して良くなかった」。ある幹部はこう打ち明ける。原田氏は米アップル日本法人の社長から04年に転身し、業績不振だったマクドナルドを8年連続で成長させたプロ経営者のはしりだ。これに対し、カサノバ氏は大学院でマクドナルドに関する企業論文を書き、カナダ法人のトップに手紙を送ってまでして入社を果たした経歴の持ち主だ。当然、カサノバ氏の方が「マクドナルド愛」は深い。
原田氏とカサノバ氏の経営方針の違いは、そうしたウエットな側面だけではない。
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■地区本部制復活、FC要望に対応
原田氏は、本社直営が大半だった店舗のフランチャイズ(FC)化を加速する一方、「地区本部制」を廃止して中央集権型の経営を推進。2011年には過去最高の営業利益281億円をたたき出したが、そこが頂点だった。
中央集権型では地域ごとのニーズに対応しきれなかったこともあり、12年以降は業績が低迷。13年8月にカサノバ氏が社長に就任し、原田氏が代表権のない取締役会長となった。カサノバ体制で、廃止された地区本部制を復活。東日本、中日本、西日本の3地区それぞれに執行役員を配置し、店舗運営や人材育成などFCオーナーの要望に対応できるよう改めた。