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スタバ、コーヒー豆かすをリサイクル 飼料などに活用
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コーヒーの豆かすを餌に混入したところ、乳房炎にかかる乳牛が減った スターバックスコーヒージャパンは、コーヒーの豆かすのリサイクルに乗り出した。乳牛の飼料や野菜の堆肥(たいひ)として有効利用するもので、食品リサイクル法に基づく「再生利用事業計画」を取得した。約140店舗から排出される豆かすを対象にスタート。2018年度には500店舗まで拡大する計画だ。
コーヒーを抽出した後に残る豆かすを飼料や堆肥にするのは技術的に可能とされていた。しかし、詳細な研究データが存在しないため再利用は進んでいなかった。こうした中、メニコンが主体となって研究を重ねた結果、有効利用できることが判明した。
スターバックスは年間7000トンに及ぶ豆かすを廃棄物として排出しており、本格的なリサイクルに乗り出した。豆かすは約5ミリ角。多孔質で表面積が広いことからポリフェノールの含有率が高い。この特性が飼料化の決め手となった。
北海道の酪農家は一般的に、80~1000頭程度の乳牛を飼育しているが、乳房の炎症にかかるという共通の悩みを抱える。対策として抗生物質を使用するが、1週間にわたって出荷できないという代償を払わなければならない。
そこで、餌の中に豆かすを混ぜて食べさせたところ、乳房炎にかかる乳牛が少なくなった。また糞(ふん)のにおいが軽減されるなどの現象も表れている。
飼料化する豆かすは東京都、神奈川県の店舗から排出されたものを利用する。再生利用事業計画では、この飼料で育てられた乳牛のミルクを店頭で用いる。乳酸発酵飼料化技術に関しては、スターバックス、メニコン、三友プラントサービス(相模原市)の3社共同で特許を出願する予定だ。
一方、肥料化については関西の店舗で排出された豆かすを活用する。堆肥で育てられたレタスなどはサンドイッチの具材として使用する。
これまでの研究では、堆肥として用いた場合、多孔質が微生物のすみかになりやすいといった特性から、野菜栽培に適していることが分かった。
例えばジャガイモの場合、黒い斑点が発生し畑全体がダメになるケースも珍しくはない。テストの結果、こうした病気対策として有用性があるとみられている。
またスターバックスでは扱わないゴボウやブロッコリーなどの野菜も生産できる。このため一連のリサイクルループの中に食品関連事業者を組み込み、野菜を引き取ってもらい販売収入を得る考えだ。
課題は、事業者や農家に対し有用性をきちんと理解してもらい、再資源化の輪を広げることだ。また実施店舗の拡大に伴い「北海道の酪農家に送りやすくするためリサイクル拠点を増やすことも重要」(環境推進チームの石川雄一・チームマネージャー)としている。