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外食・流通業界、人材不足で自動調理に脚光 「国際食品工業展」開幕

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外食・流通業界、人材不足で自動調理に脚光 「国際食品工業展」開幕

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1時間で1500個の餃子を作れる東亜工業の餃子製造機=10日、東京都江東区  外食・流通業界で人材不足が問題になる中、自動化や省力化のニーズが高まっている。10日開幕した「FOOMA JAPAN2014(国際食品工業展)」では、関連機器メーカーが自動で調理する機械を多数展示。人手不足に加え、消費税や原材料の高騰によるコスト増を少しでも抑えたいという業界の需要を取り込もうと、製品開発や売り込みに力を入れている。

 すし用機械メーカーの鈴茂器工は、装置にご飯を入れるだけで自動でシャリが出てくる「シャリ玉ロボット」を展示。4月に投入した新型は、1時間で、4300貫のシャリを握れる優れものだ。

 すでに大手回転すしチェーンに同社の装置は、ほぼ導入済みだが、最近は「スーパー向けの販売が増えている」(担当者)という。スーパーの持ち帰り用のすしは現在、パートやアルバイトが手で握っているケースが多いが、最近の人材不足から問い合わせが急増している。同社は商機ととらえ、スーパーへの営業活動に力を入れる。

 餃子製造機で国内シェア1位の東亜工業(浜松市)も今年に入ってから、鈴茂器工と同様にパートやアルバイトが見つからないラーメン店などから問い合わせが増えているという。

 餃子を作るには腕の良い職人でも1時間で300個が限界。同社が今回展示した餃子製造機は、充填(じゅうてん)機に具材を入れ、皮を装置に載せるだけで1時間に1500個作れる。景気の好転により新店を出したいラーメン店も増えており、今後のさらなる需要増を期待している。

 焼き鳥や串揚げの串刺し機を展示したコジマ技研工業(相模原市)も、最近は小規模店舗からの問い合わせが増えているという。串刺しは技量が必要の割に人件費が安いため、人材が集まらないというのが背景にあるようだ。特に消費税が増税された4月以降、同社への引き合いが急増。担当者は「人件費を抑えようとしている店舗が増えており、4月と5月の売上高は前年同期と比べて30%アップしている」と話す。

 一方、野菜や果物などの加工機械メーカー、ドリマックス(埼玉県川口市)は中国やシンガポール、マレーシアの食品会社などとの取引が増えており、2013年度の海外売上高は、前年度比2~3倍と好調だ。

 海外でも外食や小売業界の人材が不足しており、日本の食品加工機械を購入するケースが増加。なかでも経済成長が著しいアジアの新興国では、質の高い日本製の機器を求めるニーズは年々高まっている。

 今後もこうした傾向は強まることが予想されるだけに、食品機械に強みを持つ日本の中堅・中小メーカーが世界を舞台に、さらにビジネスを拡大させる可能性も大きい。(黄金崎元)

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