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アニメで盛り上げる空間演出 カラオケ・ホテルの差別化戦略

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アニメで盛り上げる空間演出 カラオケ・ホテルの差別化戦略

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「銀河鉄道999」をイメージしたカラオケ店のコンセプトルーム=大阪市北区(大塚聡彦撮影)  漫画やアニメ、ゆるキャラはもはや日本独自の文化。このジャンルで成熟を続ける「オタク」や「マニア」の市場は年間1兆円規模ともいわれ、キャラクター好きを狙った商品・サービスが広がっている。そんな中、関西ではカラオケ店やホテルがキャラクターなどを素材にした空間演出に注力。この部屋でしか味わえないという“レア感”でファンを取り込み、競合他社との差別化を目指している。

 空間の魅力で倍増

 関西を中心にカラオケ店「ジャンボカラオケ広場」(ジャンカラ)を展開する東愛産業(京都市)は、部屋ごとにディスコ、ダンスホールなどの個性を持たせたカラオケルーム「リラカラ」を平成23年に始めた。導入店は全128店の約6割に当たる74店(3月時点)。リラカラの予約は改装前の1・5~2倍に急上昇したという。

 中でも人気なのが、アニメキャラなどとコラボした部屋。蒸気機関車の座席をデザインに取り入れた部屋は、漫画やアニメの「銀河鉄道999(スリーナイン)」がコンセプト。このほか昨年8月に期間限定で、ホラー映画「貞子」の部屋まで登場した。

 リラカラの魅力について、同社営業企画部の藤田剣司さんは「予約客が増えている。歌だけでなく空間も楽しみたいという要望の表れでしょう」。キャラクターとのコラボルームは「ファンに限らず幅広い支持を集め、他店との差別化につながっている」(藤田さん)という。

 スヌーピーのホテル

 こうした動きはホテル業界でも活発で、キャラクターを扱った“コンセプトルーム”が続々と登場している。

 このタイプでの老舗は帝国ホテル大阪(大阪市北区)。13年に世界的に愛される「スヌーピー」のデザインを5室に採用した。飾り付けやサービス内容を年々充実させ、年間400室以上の予約が入る人気の宿泊プランに大化けした。

 ベッドカバーやバスローブ、グラスなどは帝国ホテルだけのスヌーピー仕様。客室に入ると、ドアマンの制服を着たスヌーピーの特大ぬいぐるみが出迎える。家族連れやカップル、女性グループのほか、一人客にも人気。30~50代の中高年層まで取り込み、大人から子供までとりこにしている。

 関連商品への波及

 ホテルグランヴィア大阪(同)は24年、JR西日本が発行するICカード「ICOCA」のマスコットをあしらった「イコちゃんルーム」を開設した。当初は3割強だった客室稼働率は現在、繁忙期で7~8割という人気ぶり。通常の客室より3千円ほど高く、立派な“稼ぎ頭”だ。

 同ホテルはフロント係ら5人による企画担当の「イコカチーム」を結成。「関連商品にも利用が広がりやすい」(広報)といい、デザートなどの開発も進めている。

 首都圏でも人気アニメ「エヴァンゲリオン」や「機動戦士ガンダム」などのコンセプトルームが続々と登場。キャラクターは部屋の独自性を高め、関連商品への波及効果が高いためだ。ファンやオタクを魅了するキャラクターが、娯楽やサービス産業を盛り上げている。(田村慶子)

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