SankeiBiz for mobile

巨人スターバックスに勝ったチャーバックス 決め手は?

ニュースカテゴリ:企業のサービス

巨人スターバックスに勝ったチャーバックス 決め手は?

更新

 大手コーヒーチェーン「スターバックス」は世界各国に展開する「巨人」だ。その巨人を、小兵が負かした。「スターバックス」が類似商標の使用差し止めを求めた訴訟で、米ニューハンプシャー州の零細業者が勝訴した。裁判は12年に及んだ。

 勝った業者はコーヒー豆販売店。旧約聖書に登場する巨人兵士ゴリアテを投石器で仕留めたダビデのように。巨人に勝つための方策とは?(坂本英彰)

 類似はごくわずか

 ロイター通信などによると、ニューハンプシャー州にある家族経営のコーヒー豆販売業者「ブラックベアー・マイクロ・ロースタリー」は1997年、最も濃い色の焙煎コーヒー豆を「チャーバックスブレンド」として売り出した。これにスターバックスが商標を侵害されたとして2001年に提訴し、11年に一審で敗訴。このほど下った控訴審でも一審判決が支持され、スターバックスの申し立ては却下された。

 裁判で注目されたのが、600人に「チャーバックス」と聞いて何を思い浮かべるかを尋ねた電話調査の結果だ。

 約40%がスターバックスやコーヒーを連想した。一方で、この名を持つ商品を誰が販売していると思うかという問いに対し、スターバックスやコーヒーショップと答えたのは4・4%に過ぎなかった。多くは食料雑貨店が販売していると想像した。

 調査結果を踏まえて、裁判官は、スターバックスの知名度の高さの割に「チャーバックス」と聞いて関連づけなかった人が多かったと指摘。消費者がチャーバックスとスターバックスを混同することはほとんど考えられず、類似はごくわずかだと結論づけた。

 早く終わってほしい…

 裁判を受けてスターバックスは「判決を尊重する」と発表し、声明で「責任ある商標保持者として手続きを行うのは務めであり、名称の使用差し止めだけを求めたものだ」と、金銭的要求をしたものではないことを強調した。

 裁判に勝ったアニー・クラークさんはこう話した。

 「うちは夫と細々とやっている小さなお店。スターバックスの妨害なんかしないし、成長を妨げてもいないわ」

 また夫のジムさんはテレビのアナウンサーに「裁判のおかげで注目されてお客さんが増えたのでは?」と尋ねられ、うんざりといった表情で答えた。

 「電話やメールやインタビューやらいっぱいあったが、ちっとも商売の助けにならなかった。とにかく大変だった。早く終わってほしいと思っていたよ」

ランキング