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【トップは語る】資生堂会長兼社長 前田新造さん(66)

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【トップは語る】資生堂会長兼社長 前田新造さん(66)

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 ■アジア代表するグローバル企業へ

 --急遽(きゅうきょ)の再登板から1年での社長交代を発表した

 「聖域を設けずに選考した。世界に伍(ご)して戦う企業になるには、グローバルな人材が必要。次期社長の魚谷雅彦氏は日本人でありながら、まさにそうした人材だ」

 --1年を振り返って

 「日本全体の景況感が好転した。消費者に明るさも出て、長らくデフレから抜け出せなかった化粧品業界も、数量の伸びを金額の伸びが上回るようになった。中価格帯の商品が見直されるようになり、資生堂の店頭売り上げも前年を上回るようになった」

 --海外事業の状況は

 「中国では厳しい状況が続くが一時期の状況は脱した。米国は全体に持ち直し基調にあり、欧州は伸び悩むがブランド価値の向上に注力し、景気回復で一気に攻めたい。インド、インドネシア、中東に合弁や完全子会社の拠点を持ち、来年から本格稼働させる。資生堂がアジアを代表するグローバル企業になる道筋が見えてきた」

 --不採算事業売却や国内小売店の在庫回収など「負の遺産」と位置づけた諸問題に対する手応えは

 「業績不振だった米子会社ののれん代を減損処理し、前年度は最終赤字と上場来初の減配となったが、そこから社員の努力で改革スピードが上がり、今年度の上期で課題一掃のめどが見えた。本格的な成長はまだつかめていないが、魚谷氏が顧問として統括し、改革する主力ブランドが来年度に発売されれば、市場に強烈なインパクトをもたらし、成長に向かう原動力になるだろう。消費税増税の影響は、駆け込み需要分と反動減の規模がほぼイコール。景気回復で伸びる分に期待する」

 --東京五輪に向けて「おもてなし」が課題となる

 「資生堂に連綿と受け継がれている伝統だ。日本の良さを知ってもらうためにも、お役に立ちたい」

                   ◇

【プロフィル】前田新造

 まえだ・しんぞう 慶大文卒。1970年資生堂入社。化粧品事業戦略本部推販部長、経営企画室長、取締役などを経て、2005年社長、11年会長。13年4月から社長を兼務。66歳。大阪府出身。

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