連日の猛暑にグッタリする日々が続く日本列島。熱中症で医療機関に搬送される人は後を絶たず、身を守る対策は重要だ。そんな中、百貨店では猛暑対策商品の売れ行きが好調で、老若男女を問わないさまざまな商品が並ぶ。中には涼しさだけでなく、“プラスアルファ”の機能で人気の商品も…。

　“冷感”よりも“美脚効果”？

　女性用タイツの一種である「レギンス」（腰から足首までを覆う衣料）や「トレンカ」（腰から足の甲までを覆う衣料）。夏場は暑くなるので敬遠する人も多かったが、名古屋市の百貨店、ジェイアール名古屋タカシマヤの婦人服フロアでは、接触冷感素材を使用した夏用の商品が人気だ。

　とくに、ガムなどに配合される「キシリトール」を配合した商品はよく売れているという。キシリトールの吸熱作用で、涼しさを感じられる。

　しかし、人気の秘密は、清涼感だけではない。

　「ひんやり感に加え、足が細く見える“美脚効果”があるのが人気です」

　売り場担当者はこう打ち明ける。実際、当初は１０代の女性が中心だった購買層が、最近は４０～５０代にまで広がっているという。

　やはり女性にとって「美」は重要な基準のようだ。価格は５００～１５００円。

　大手靴下メーカー、福助の担当者は「接触冷感の糸を使った製品の需要は年々高まっている」と解説する。

　“シワ隠し“に中高年女性飛びつく

　暑さをしのぐには、首筋を冷すのが効果的。同百貨店では、保冷剤を入れて首に巻く「クールハンカチーフ」も人気だ。価格は８４０～１５７５円。

　「購入者は中高年の女性が中心。プレゼント用に買う人も多いですね」と売り場担当者。

　首に巻くことで首筋のシワを隠せるという「プラスアルファ」の機能があることも人気の秘密になっている。

　また、外出時に暑さから赤ちゃんを守ろうと、子供用品売り場では、ベビーカーの背中に敷くさまざまな保冷シートも並ぶ。

　ボクサー派、トランクス派、ふんどし派？

　名古屋三越栄店（名古屋市）で、梅雨明けとともに売り上げを伸ばしているのが、男性用の“ふんどし風”新感覚肌着。蒸れやすい部分の布地を小さくし、密着感も前部は弱く、後部はやや強くして履き心地を高めた。

　通常タイプで３６７５円。７月からはさらに通気性を高めたメッシュ（網目）タイプ（３９９０円）の販売も始めた。多い日は１０枚近く売れるという。

　「体に密着するボクサーパンツと、緩いトランクスの中間で、蒸れにくいのが人気の秘密」と担当者。

　こちらも体感温度を一定に保つプラスアルファの効果があり、屋内外の温度差が激しい夏場には重宝されるとか。

　暦の上では秋が始まるとされる二十四節気の「立秋」（８月７日）は過ぎたが、まだまだ暑さが続く。しかし、単なる猛暑対策商品では差別化が難しくなっており、どんなプラスアルファ機能を盛り込めるかが勝負になりそうだ。（佐久間史信）