ニュースカテゴリ:企業経営
就活解禁、大学3年3月 首相が医療、雇用など成長戦略発表
更新
安倍晋三首相は19日、日本記者クラブで記者会見し、デフレ脱却に向けて医療、雇用、女性や子育て分野の成長戦略を発表した。政府の産業競争力会議などで議論し、6月にまとめる成長戦略に盛り込む方針だ。首相は同日、大学生の就職活動の解禁時期を遅らせて3年生の3月とすることや、3年間の育児休業実現を目指すことについて、経済界に要請。経済界は就活解禁時期を遅らせることについて、受け入れを表明した。
首相は、成長戦略の柱に「健康長寿社会」を据え、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の利用など再生医療の実用化・産業化を推進する方針を表明。規制を緩和する新法案や医療製品の審査期間を短縮する薬事法改正案を今国会に提出する。
また、首相は会見で「国際的な大競争から逃れることはできない。であれば、打って出るしかない」と述べ、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などの経済連携交渉を進める意欲を重ねて示した。経済外交も本格化させる。
高度な医療技術の海外展開を図るため、政府が主導して来週、医療機器メーカーと医療機関が連携した国際医療協力の新たな態勢を構築すると明言。最先端の医療技術を開発するための司令塔として、米国の国立衛生研究所(NIH)を参考に「日本版NIH」を創設し、官民一体で取り組む意向も示した。
「女性の活躍は成長戦略の中核をなす」とも強調。待機児童解消のプランを速め、2013、14年度の2年間で20万人分の保育の受け皿整備を約束し、「17年度までに待機児童ゼロを目指す」と明言した。3年間の育児休業実現を経済界に求めた。
就活の解禁時期を遅らせるのは学業に専念する期間を長くして人材育成を図るため。就活の解禁に当たる会社説明会など広報活動の開始時期は3年生の12月だが、これを3カ月繰り下げる。筆記試験や面接などの選考活動は、現行の4年生の4月から同8月に改める。各種資格の取得を目指す若者を支援する「自発的キャリアアップ制度」創設も表明した。
会見に先立ち、安倍首相から首相官邸で就活解禁の時期を遅らせることについて要請を受けた経団連の米倉弘昌会長は会談後、記者団に「会員企業に周知徹底していきたい」と述べた。