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なぜキャンギャルが“2次元”なの? 阪急梅田本店のファッション戦略

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なぜキャンギャルが“2次元”なの? 阪急梅田本店のファッション戦略

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さいとりこみ阪急百貨店梅田本店うめはんキャラクター(上品系)  改装工事を終えて全面開業した阪急百貨店梅田本店(大阪市北区)は、20~30代女性向けカジュアル衣料品売り場「うめはんジェンヌ」のキャンペーンガールに生身のモデルではなく、オリジナルキャラクターを起用。4人のイラストレーターによるキャラクターの人気投票を13日に始めた。ところが、同じ百貨店でも、10代後半~20代がターゲットの売り場「うめはんシスターズ」は公募で決まったモデル4人が活躍中。モデルの平面・立体の両面展開だが、阪急百にとって年齢層による事情や会社の安全策があるようで…。

 売り場の服を着た2次元キャラ

 ジェンヌのキャラクター選抜は、「Manga de UMEHAN(まんがでうめはん)ジェンヌ キャラクター総選挙」。オリジナルキャラクターのデザインを手がけるマンガデザイナーズラボ(東京都渋谷区)との共同企画だ。

 “候補者”は、同社所属のデザイナー4人が「モテ系」「上品系」「あこがれ系」「かわいい系」の4つのシチュエーションを想定し、実際に売り場で販売されている服を着用したキャラクターを描いた。

 投票箱は4階の売り場に4月7日まで設置。最も投票数が多かったデザイナーの作品を1年間、うめはんジェンヌの「看板娘」として起用し、広報誌やホームページ、ブログなどで掲載する。

 阪急百貨店の担当者は「最終的には、キャラクターを売り場から飛び出して、ゲームなどのコンテンツ(情報の内容)業界での活躍の場を広げさせたい」としている。

 若者向き売り場は生身のモデルで

 うめはんジェンヌが2次元キャラを起用するのに対し、うめはんシスターズは生身のモデルを採用している。昨年末、大手芸能プロダクション「エーチームグループ」と共同で売り場のイメージモデルを公募した。

 応募は3千人を超える反響で、書類選考、面接のほか、2月3日の最終選考会では一般客約100人の投票を実施。4人が「うめはんメイツ」に選ばれた。

 4人はすでにモデルとして活躍しており、店内でのイベントでのトークショーやファッションショーはもちろん、ファッション雑誌にも登場している。

 また、店外イベントにも出張。3月3日に大阪市で開かれた日本最大級のファッションイベント「関西コレクション2013」のステージに立ち、阪急百貨店発のファッションを売り込んだ。

 2次元はスキャンダルに強い?

 なぜ、うめはんジェンヌはモデルではなくキャラクターなのか。どうやら理由は顧客の年齢層にあるようだ。

 ジェンヌの中心顧客層は20~30歳代で、10歳代後半~20歳代のうめはんシスターズよりも一段階上の世代。晩婚化傾向が続いているとはいえ、既婚者が多い。このため「オーディションを実施しても、シスターズのように集まりにくいのでは」(担当者)との考えがあったという。

 また、起用したタレントやモデルが不祥事を起こした場合、販促キャンペーンの中止に追い込まれることがあるが、キャラクターの場合、そうしたリスクは低い。3次元との両面展開には、リスク低減というウラもあるようだ。

 大阪市内の百貨店では平成21年、大丸心斎橋店が「うふふガールズ」を展開し若い女性客の取り込みに成功し、これを皮切りに若者向け衣料品売り場が続々と誕生。しかし、平均化で目新しさがなくなったほか、阪急梅田本店は最寄りにライバル店の「ルクア」があり、顧客争奪戦は激しい。

 担当者は「キャラクター投票とモデルの公募で、多くの女性を巻き込みたい」(担当者)。広い雑貨フロア、情報発信広場などを抱える“巨艦”阪急は、モデルも多方面で展開する考えだ。(松村信仁)

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