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日本ブランド車、中国生産5割減 不振長引けば国内雇用にも悪影響の恐れ
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中国に生産拠点を持つ国内大手自動車6社が29日発表した10月の中国生産台数は、合計で前年同月比48.9%減の15万386台だった。日中関係の悪化による日本ブランド車の不買運動の影響で販売が落ち込み、生産調整を余儀なくされた。
一部の車種は日本から輸出しており、トヨタ自動車や日産自動車は中国向け輸出を大幅に縮小。マツダはリーマン・ショック後の2009年2月以来、3年8カ月ぶりに輸出を停止した。
中国生産は、トヨタが6割を超える減産となったほか、ホンダは約5割減、日産も4割減と軒並み大幅に落ち込んだ。
ホンダは10月末から、武漢と広州の工場で昼夜2交代だった勤務態勢を日勤だけにしている。年明けにも通常の勤務態勢に戻す計画だが、「需要に応じて生産調整していく」(広報部)と、先行きは予断を許さない。トヨタは11月の生産にも「一定の影響は出ている」(広報部)としている。
「客足は戻り始めている」(日産)との声もあるが、10月の販売は前年に比べてホンダが5割減、三菱自動車が7割を超える落ち込みなど、不振が続いている。
「販売店の営業マンの引き抜きや退職が相次いでいる」(大手メーカー幹部)など反日の影響は尾を引いており、三菱自動車の益子修社長は「来年3月くらいまでは、我慢が続く」とみる。
販売不振の影響は輸出にも波及。トヨタの高級車ブランド「レクサス」、日産の「インフィニティ」など利益率の高い高級車を中心に輸出が減り、収益を圧迫している。トヨタの中国向け輸出は91.3%減の800台と激減、日産も「販売店に在庫がたまっている」(広報部)として、75.9%減の700台に減らした。中国向け輸出の落ち込みが長期化すれば国内も生産調整を強いられ、雇用にも悪影響が広がる恐れがある。
一方、富士重工業とダイハツ工業を加えた大手8社の10月の国内生産は、合計で12.4%減の75万1414台となった。エコカー補助金の終了の影響が響いたためとみられる。販売の合計は6.6%減の33万4103台だった。海外生産の合計は、北米や東南アジアの販売好調を受け14.6%増の131万2102台と拡大した。
国内生産 国内販売 中国生産 中国販売
トヨタ 26万5042 12万 585 3万 591 4万6000
(▲16.3) (▲ 6.1) (▲61.1) (▲44.1)
日産 10万 804 4万4509 6万1360 6万4286
(▲13.0) (▲ 5.0) (▲44.0) (▲40.7)
ホンダ 8万 53 4万3890 2万6302 2万4115
(▲15.8) (▲ 5.9) (▲54.2) (▲53.5)
スズキ 8万1222 4万6439 1万8389 1万6888
(▲16.8) ( 2.5) (▲32.6) (▲29.2)
マツダ 7万1825 1万3174 1万3253 9511
(▲ 5.0) (▲13.8) (▲27.6) (▲44.9)
ダイハツ 5万6862 4万4608 -- --
(▲ 7.7) (▲15.2)
富士重 5万4546 1万 780 -- 1468
( 21.1) (▲12.2) (▲76.3)
三菱自 4万1060 1万 118 491 1287
(▲19.1) (▲ 0.2) (▲84.6) (▲75.0)
8社合計 75万1414 33万4103 15万 386 16万3555
(▲12.4) (▲ 6.6) (▲48.9) (▲44.2)
※単位:台。カッコ内は前年同月比増減率%、▲はマイナス、富士重は中国生産なし、ダイハツは中国の生産、販売ともなし