真山仁の穿った眼

岸田政権のポテンシャルに期待 時間をかけて“本気”の経済政策を (2/2ページ)

真山仁
真山仁

 それはともかく、私は岸田政権の経済政策に期待している。首相が掲げるスローガンはどうでもいい。それよりも、政府介入などをしなくても良いように、日本経済が健全性を取り戻すための後押し、さらには財界を上手に巻き込んで、攻めの経営を活性化させる政策を、「行動」で示して欲しいのだ。

 困難に立ち向かう「行動力」を

 岸田首相の派閥「宏池会」は、創設者の池田勇人以来、一貫して経済政策を最重要課題に据えて、「日本経済を元気にする」政策を重視してきた。その継承者として、じっくりと腰を据え、人気取りではなく将来を見据えた政策を我慢強く行えるか。それが、よく分からないスローガンや「言葉」ばかりが一人歩きしてきた政策に疲れ果てた日本社会に、光を与えてくれることにもなる。

 霞が関の官僚を上手に使いこなし、懸案事項に目を背けず解決に向けて歩み出して欲しい。

 何より期待したいのは、総選挙でも多くの有権者が期待したのに各党の公約(マニフェスト)ではまともに扱われなかった国家財政の再建だ。

 前幹事長に闘いを挑んだように、困難に立ち向かう行動力こそが、岸田政権の魅力だと言われるようになれば、支持率に一喜一憂する必要もなくなるはずだ。

昭和37年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科を卒業後、新聞記者とフリーライターを経て、企業買収の世界を描いた『ハゲタカ』で小説家デビュー。同シリーズのほか、日本を国家破綻から救うために壮大なミッションに取り組む政治家や官僚たちを描いた『オペレーションZ』、東日本大震災後に混乱する日本の政治を描いた『コラプティオ』や、最先端の再生医療につきまとう倫理問題を取り上げた『神域』、「震災三部作」の完結編となる『それでも、陽は昇る』など骨太の社会派小説を数多く発表している。初の本格的ノンフィクション『ロッキード』を上梓。最新作は医療過誤をめぐる法廷サスペンス『レインメーカー』。

【真山仁の穿った眼】はこれまで小説を通じて社会への提言を続けてきた真山仁さんが軽快な筆致でつづるコラムです。毎回さまざまな問題に斬り込み、今を生き抜くヒントを紹介します。アーカイブはこちらから。真山仁さんのオウンドメディア「真山メディア-EAGLE's ANGLE, BEE's ANGLE-」も随時更新中です。

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