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自民・岸田氏、家賃補助はテナントへの直接支援検討 「失地回復」目指す  (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの影響で売り上げが激減した飲食店などの家賃負担の軽減策について、与野党の意見が対立している。24日には政府と与野党の連絡協議会が開かれ、野党側は家賃の支払い猶予を求めたが、政府・与党は、まず令和2年度補正予算案の成立を優先するよう主張した。自民は賃貸物件に入るテナントに直接補助する仕組みを検討するが、政府との合意点も見いだせていない。国民への現金給付をめぐる迷走劇の失地回復を果たせるかは不透明だ。

 立憲民主などの野党側は協議会で、補正予算案を組み替え店舗の賃料の支払いを猶予するため5兆円を盛り込むことなどを主張した。野党が提出を目指す法案は、借り手の家賃の支払いを猶予した上で、日本政策金融公庫が不動産の持ち主に賃料を補填し公庫が借り手から回収する仕組みだ。日本維新の会は、賃料の減額に応じた不動産のオーナーに一定の額を補償する案を示した。

 これに対し、自民側は、今の段階で予算を組み替えれば、一連の支援策が国民の手に届く時期がさらに遅れると反論し、まずは月内に補正予算案を成立させるよう求めた。ただ、家賃補助への対応は「党内で検討中」として態度を保留した。

 自民党は家賃の支援策をめぐり政府からヒアリングを重ねており、近く党としての具体案を目指す方針だ。岸田文雄政調会長は、テナントに直接、家賃を補助する直接給付を軸に検討を進めている。21日の記者会見では「支援は借り手に直接、行うことが大事だ。家賃支払いのための助成金や補助を考えていかなければならない」と訴えた。

 不動産の所有者を助ける野党案では、テナントの救済につながりづらいという考えも念頭にある。

 政府は緊急経済対策で支援策を盛り込んだとして、岸田氏の考えに慎重姿勢を崩さない。それでも岸田氏が家賃補助の実現に意欲をみせるのは、国民1人あたり一律10万円の現金給付を決める過程で、傷を負った経緯があるからだ。

 岸田氏は当初訴えていた一律給付の持論を封じ、財務省と歩調を合わせて減収世帯に限り「30万円給付」で党内をまとめた。ところが、公明党などの異論で「一律10万円」に変更され一度閣議決定した予算案を組み替える事態を招いた。

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