市によると、断水の苦情や問い合わせなどの件数は19日現在で約2100件。市は今後、断水する場合の広報のあり方などを検証するとしている。
水道管の老朽化が引き起こす問題は、和歌山市のみならず各地で浮上している。全国で法定耐用年数の40年を超えた水道管は15%以上を占めており、専門家は「どこでも起きうる問題だ」と警鐘を鳴らしている。
厚生労働省によると、全国に張り巡らされた水道管約71万キロの多くは昭和50年前後の高度経済成長期までに敷設。当時から更新されていないものも多く、平成29年度時点で16・3%が法定耐用年数を超えている。
一方で老朽化した水道管の事故は近年相次いでいる。
水道に詳しいジャーナリストの橋本淳司さんは、水道管が更新されない背景に、自治体の厳しい財政状況があると分析。人口減少で税収が減る上、一人一人の節水に対する意識の高まりから、料金収入も減少傾向にあるという。
橋本さんは「耐用年数を超えた水道管全てをただちに更新することは難しい。人口減少社会をふまえ、需要の多い水道管を選別した更新計画が必要だ」と指摘する。
和歌山市では、断水を告知した当初、住民から「断水をやめてほしい」という声が上がる一方、「水道管の老朽化の対策が必要ではないか」と工事を望む意見も出ていた。橋本さんは「それぞれの自治体ごとに水道管に関する情報を開示し、住民らの合意形成を図っていく必要もある」と話している。