求められる適正価格
今後も、LNGが重要な役割を果たし、世界全体でさらに市場の拡大が期待されている。そのため、石炭、再エネ、原子力、LPガスなどとの市場競争に備える必要がある。また、市場成長が期待される新興市場は相対的に所得水準が低く、輸入・購買の支払い能力にも一定の限界がある。要するにLNG価格の競争力や「手頃さ」が大きな課題となる。しかし価格が安ければ消費側は好都合だが、需要を満たす供給拡大投資が進まない恐れもある。
消費・供給の双方にとって合理的な価格が望ましく、その下で市場が健全に発展・成長することが望まれる。また市場でのさまざまな不確実性に対応するため、LNG市場が柔軟性を高めていくことも重要である。そして、LNGの価値をより適切に反映する価格決定方式の模索も続くことになろう。
長期課題として、気候変動対策強化の中で、LNGがどのような役割を果たすのか、も重要な検討課題となる。
これらは今後のLNG市場発展のため、関係者全てが取り組むべき問題である。本年9月末、世界から閣僚や企業トップが参集し第8回「LNG産消会議」が東京で開催される。市場発展に向けた建設的な議論を期待したい。
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【プロフィル】小山堅
こやま・けん 早大大学院修了。1986年日本エネルギー経済研究所入所。2011年から現職。英ダンディ大学留学、01年博士号取得。専門は国際石油・エネルギー情勢分析など。60歳。長野県出身。