上級委は「現実の数値のみならず、土壌など周辺環境も含め将来にわたって改善すべきだ」との韓国の主張を組み込まずに結論づけたと判断。「法律の適用上欠陥があり、(パネルの判断を)取り消す」とした。
韓国がこうした主張を続けるのは、2008年に牛海綿状脳症(BSE)を理由とした米国産牛肉輸入制限解除の際に、大規模な抗議集会や街頭デモが実施されるなど、食の安全に敏感な国民感情への配慮も大きい。今回の問題をめぐっては、自国の主張の妥当性をアピールするため、汚染水処理や廃炉など原発の事故処理が続くことも訴えていた。
WTOのお墨付きを得て、日本産食品の安全性を世界に訴える好機にしようとした政府にとっては想定外の判断で、他の輸入規制導入国に比べても特に厳しいとされる韓国の制限措置が容認されたことは痛手だ。