日本は水産物禁輸をめぐる韓国との争いで逆転敗訴した。日本の主張は昨年、1審の世界貿易機関(WTO)紛争処理小委員会(パネル)で認められており、最終審に当たる上級委員会でも勝てると楽観論が広がっていただけに、政府内には動揺も広がっている。今回の上級委の判断は政府の食品輸出の拡大戦略にも障害となりかねない。
「なぜ禁輸を容認する決定となったのか。分析しないといけない」。日本の政府関係者は今回の判断を受けて、こう述べた。
上級委が問題視したのは日本が勝訴した1審でのパネルの手続きだ。放射性物質による健康被害への懸念を背景にした韓国の禁輸措置が適切かどうかを判断するためには、年間の許容内部被(ひ)曝(ばく)放射線量、対象となる魚の生息海域、達成可能なより低い被曝水準の設定という3つの要素を考慮しなければならないが、パネルは許容内部被曝放射線量だけを基準に判断したという。