論風

今後10年のメガトレンド おごりと焦りのドカ貧避けよ (2/3ページ)

土居征夫

 日本には1億人超の健全な国民の落ち着いた生活文化があり、この上に成り立つ内需型企業の善戦に期待すべきではないか。海外でもうける高い成長は期待できないが、少しずつ力を蓄えていくことはできる。

 生活・文化の質の高さと、消費の健全さこそ日本の宝である。日本の戦後も、財閥企業の復活というより、新しい振興企業の大企業への成長によって支えられた面が大きい。

 世界経済の混乱と成長ストップの中で日本国内の豊かな市場を前提とする新しい中堅・中小企業群にこそ未来がある。日本型知的ロボットなど、人工知能(AI)時代の勝者もそこから生まれつつある。

 カメの歩みを

 評論家の中前忠氏は近著「家計ファーストの経済学」で「80年代以来世界経済はマネー供給の拡大に依存し、企業収益を優先させる『企業ファースト』で動いてきた。これから、歯車は逆転する。マネー依存経済が終わり、グローバル化時代が終焉(しゅうえん)し、経済のローカル化が進む。そこでは、消費する力が繁栄を左右する。これからは『家計ファースト』への転換が必要であり、それに成功すれば日本は新たな成長への機会をつかめる」と主張する。

 経済学者の寺西重郎氏は近著「日本型資本主義-その精神の源」で、「鎌倉時代の宗教改革により、国民全体に広がった仏教文化は、武士階級に武士道をもたらし、室町時代に匠の文化(モノづくり)を育て、江戸時代には石田梅岩や二宮尊徳などの力で商人道徳や農民の勤勉思想に及び、それが今日の日本資本主義の発展のベースとして生きている。西洋キリスト教文明が生んだ資本主義が揺らぎつつある現在、人類に貢献できるのはプーチン露大統領や習近平・中国国家主席型の国家資本主義ではありえず、韓国や中国が志向する統治原理を儒教とする資本主義でもなく、第三世界、アジア諸国の支持を受ける日本資本主義の流れではないか」と示唆している。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus