家賃のクレイジー価格は、若者たちに大きな影響を与えている。日本も同様だが、賃貸住宅に住むのは、若者が中心だ。北京では、賃貸住宅の3割が「90後」、1990年代生まれの若者たちだというデータもある。
改革開放のモデル都市、広東省深センは、住民の80%が地方から出稼ぎに来ている若者たちである。彼らは当然賃貸住宅に住むわけだが、収入のうち、家賃の占める割合が3割以上というのも珍しくない。
深センの工場労働者は、テレビの取材に対してこう答えている。「われわれはお金もうけのために農村から出てきている。月収が3000元で、家賃が1500元だったら意味がない。いったい、どうすればいいのか」
外国人も同じである。大企業の駐在員ならともかく、中小企業やフリーランスの外国人は、家賃の高騰で帰国を余儀なくされる例も多い。北京から日本人の数が減少しているというが、その理由は、家賃の高騰だという説もある。
賃貸人口は、2020年には2億2000万人、30年には2億6500万人に上るという。日本では江戸時代以降、米の供給不足による「米騒動」がしばしば起きている。「米寄こせ」ではなく「家寄こせ」という騒動にならなければいいがと切に思う。地方政府の手腕が問われている。