米に中国「軍産一体」脅威論 対中制裁を断行、強硬姿勢の背景に (2/2ページ)

 軍事と民間を両輪として産業振興を進める戦略は、民生品を軍事用にも転用する「デュアルユース」と呼ばれる技術動向も後押ししている。かつて軍事から民間に広がった技術として、インターネットや衛星利用測位システム(GPS)が知られている。だが近年は、半導体レーザーやセンサーなど、優れた民生品を軍事用に改善して利用するケースが増えた。

 USTRの報告書によると、中国の地方政府が支援する買収ファンドなどが、デュアルユースの技術取得を視野に、企業買収を展開したことが確認された。

 “軍産一体”となってハイテク振興策を進める中国への懸念から、米政府は、輸出品を制限する輸出管理制度を強化する検討に入った。トランプ米大統領は6月下旬、「米安全保障と技術面のリーダーシップを守るため」として、商務省に検討作業を指示。米メディアによると、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)も作業に参画する。

 トランプ氏は、中国との通商問題で、巨額の貿易赤字削減や米国内への雇用回帰を訴えている。ただ、自前で先端技術の開発力を確立する野心をあらわにする中国への警戒は根深く、米中のハイテク覇権をめぐる対立は沈静化する兆しがみえない。