米に中国「軍産一体」脅威論 対中制裁を断行、強硬姿勢の背景に (1/2ページ)

 【ワシントン=塩原永久】トランプ米政権は、ハイテク技術の覇権を狙う中国の産業育成策「中国製造2025」に対抗し、中国への制裁関税を強化する方針だ。強硬策は、米技術の流出防止が目的だが、民間の技術力を底上げし、先進的な軍事技術の獲得につなげようとする中国への警戒感も一因となった。米国では「中国の軍事と民間は一体だ」との不信感があり、ハイテク分野の米中攻防は長期化する見通しだ。

 米政権が10日、関税を適用する中国製品を2千億ドル(約22兆円)相当とする追加制裁を表明したのは、中国製造2025を実現するため、中国が米国の知的財産を侵害しているとみているためだ。

 中国は次世代技術の本命とされるAI(人工知能)などの分野で世界屈指の競争力を握る目標を掲げる。ハイテク分野に国家主導型で乗り出す中国に対し、米政権は「経済的侵略だ」(ナバロ大統領補佐官)と敵対姿勢を隠さない。

 強硬策に振れる米国の対中政策は、軍事・安全保障面での中国脅威論も背景にある。米国からの部品輸出が禁止された中国通信機器大手、中興通訊(ZTE)をめぐっては、「ZTEの通信機器を通じて米国の秘密が中国当局に漏れる」(米議員)などと、米国内の不信が表面化した。

 米通商代表部(USTR)がまとめた中国による知財侵害の報告書は、先進技術の開発力を底上げするため、産業界と軍事部門が一体的に取り組むよう求めた中国の政府方針「軍民融合」に注目している。軍民融合は2014年、「国家戦略」に格上げされ、17年には専門の監督組織が新設されたという。

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