【ソウル=名村隆寛】今年1月1日に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が「新年の辞」で平昌五輪への代表団派遣の用意と南北対話の可能性を表明してから約5カ月間、朝鮮半島を包んだ南北和解の雰囲気は、米朝首脳会談の中止通告によって区切りがつけられた。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は1月、「北がわれわれの(対話)提案に応じたことを評価、歓迎する」と金正恩氏に返した。2月の平昌五輪には北朝鮮が参加。金正恩氏の妹、金与正(キム・ヨジョン)氏ら北朝鮮代表団が訪韓し南北和解を世界にアピールした。
3月には訪朝した韓国特使に「非核化の意思」を表明した金正恩氏が、早期の米朝会談を要請し、トランプ米大統領が即応。4月末の板門店での南北首脳会談に続き、米朝首脳会談の開催場所、日程も決まった。
米朝首脳会談の中止で文氏が描いていた朝鮮戦争の「終戦宣言」についての協議や南北と米国の首脳会談の実現は不透明となった。ただ、この間の成果が全くなかったわけではない。
それまで謎に包まれていた金正恩氏夫妻や金与正氏ら北朝鮮の最高権力層が外部に姿を見せ、言動が公開された。今月には北朝鮮に拘束されていた米国人3人の帰国や、北朝鮮の核実験場の爆破が実現した。