三波春夫ロイドが米粉PR 歌詞は「霞が関文学」農水省監修 (3/3ページ)

三波春夫さんの音声を合成して、米粉のPRソングを歌うハルオロイド・ミナミ
三波春夫さんの音声を合成して、米粉のPRソングを歌うハルオロイド・ミナミ【拡大】

  • 農林水産省=東京都千代田区

 「ならでは」の悩みも

 ただ、担当者は「グルテンを含まないということを過度に強調するわけにもいかなかった」と農業全体の振興に取り組む農水官僚ならではの悩みを打ち明けた。「隣の班では小麦の生産拡大に取り組んでいますから。小麦のイメージを悪くするわけにはいかない」と振り返った。

 再生回数は数十回から百数十回とまだまだ。テイチクの制作担当者も「配信したばかりなので、今はいろいろな人に知ってもらいたい」と話す。

 すでに、米粉ソングはカラオケでも配信が始まっている。今後はエクシングの直営店で米粉を使った限定メニューを提供するなどのキャンペーンを実施する予定という。

 2020年東京五輪・パラリンピックを2年後に控え、「東京五輪音頭」で1964年東京五輪を盛り上げた伝説歌手の声がよみがえった。ハルオロイドは無料で公開されており、制作担当者は「『ザ昭和』の着物姿のおじさんをみなさんで楽しんでほしい」と話した。(高木克聡)

【用語解説】米粉

 主食用のコメ余り解消や食料自給率向上のため、農林水産省は米粉用米の生産に補助金を出し、推進している。米粉で作ったパンや麺はモチモチとした食感が特徴。油の吸収率は小麦粉より低く、揚げ物のサクサク感が長く続きやすい。米粉用米の生産は2010年に決めた計画で20年までに50万トンに増やす目標を立てたが、消費が伸びておらず、15年の計画では25年までに10万トンに目標を下げた。16年産の主食用米は約749万トン。農水省が生産を後押しする飼料用米は16年産で約48万トンの計画だが、米粉用米は2万トンに満たない。

【用語解説】霞が関文学

 法案や公文書作成における官僚特有の作文技術を揶揄する言葉。文章表現を微妙に書き換えることで、別の意味に解釈できる余地を残したり、中身を骨抜きにしたりする。例えば、「完全民営化」と「完全に民営化」の場合、前者は文字通りの民営化を指すが、後者は法律で3パターンほどある民営化のどれか1つを「完全」に実現すればいいという意味になる。つまり、政府の一定の関与が残る「特殊法人」でも許される。このほか、単語の後に「等」をつけることで、事実上何でも許されるようにしてしまう。一方、日本語を正確に定義して書くという官僚に本来求められるスキルを指す場合もある。