再任固まった黒田日銀総裁 「異次元の金融緩和」出口戦略に立ちふさがる3つの壁 (1/2ページ)

衆院議院運営委員会で所信表明する日銀の黒田東彦総裁。中央は大島理森衆院議長、右は赤松広隆衆院副議長=2日
衆院議院運営委員会で所信表明する日銀の黒田東彦総裁。中央は大島理森衆院議長、右は赤松広隆衆院副議長=2日【拡大】

 再任が固まった黒田東彦総裁だが、「異次元の金融緩和」を手じまいする出口戦略には3つの壁が立ちふさがる。

 頼みの綱である米国の景気回復がいずれ収束する「残り時間」の問題に加え、大規模緩和に慣れた市場の混乱、後ろ盾である安倍晋三首相の任期切れによる政治リスクだ。任期中に目標の物価上昇率2%を実現し、出口へとたどり着けるのか。次期5年が黒田氏の歴史的評価を決める。

 「差し掛かった時の状況を踏まえ判断する。現時点ではまだ遠く、具体的な形で語るのは適切ではない」

 2日の所信聴取で、黒田氏は出口戦略の検討時期を「2019年度ごろ」と明言したものの、その具体的な手段や内容については慎重な言い回しに終始した。

 “公約”実現まで残された時間は2年程度。だが、市場ではこの年を境に、中国景気の減速や景気サイクルのピークアウトで、世界景気が後退局面に入るとの観測も出ている。

 日本経済はこれまで、米国の利上げで日米の金利差が広がり円安が進む追い風を受けてきたが、米国が金融政策を転換すれば出口どころではなくなる可能性がある。黒田氏もこの日、「必要ならさらなる緩和も検討する必要がある」としており、先行きは不透明だ。

 黒田氏が言葉を濁した出口戦略の手法も課題だ。超低金利の長期化で利ざや(貸出金利と預金金利の差)が縮小し、経営体力が削られた金融機関からは金利引き上げを求める声が出ている。ただ、日銀が利上げに向けた検討を進めれば、金融市場は円高・株安に振れやすくなる。

逆風が吹く恐れも