【中国電子マネー事情】(上)支払い難民発生…「キャッシュレス社会」の光と影 (1/2ページ)

上海市内のバス停脇でキャッシュレス支払い用に2種類のQRコードを掲げた焼き芋の屋台。左側の青は「支付宝(アリペイ)」、右側の緑は「微信支付(WeChatPay)」(河崎真澄撮影)
上海市内のバス停脇でキャッシュレス支払い用に2種類のQRコードを掲げた焼き芋の屋台。左側の青は「支付宝(アリペイ)」、右側の緑は「微信支付(WeChatPay)」(河崎真澄撮影)【拡大】

 ■利便性向上、“支払い難民”発生

 「お客さんの8割くらいはスマホ払いね。現金を受け取っておつりを渡すより簡単。仕事が終わってから、山のような一元コインや五元札を数えるのはもう面倒だわ」。上海市内のバス停脇で焼き芋を売っていた女性は、屋台に自分の口座を示す「QRコード(スマートフォン決済用の2次元マーク)」を掲げ、客にスマホでの支払いを求めていた。

 大きいもので1個10元(約170円)ほどの焼き芋。冬の風物詩だが、スマホを使った代金の支払いサービスが爆発的に広がる中国では、レストランやシェア自転車のみならず、屋台までキャッシュレス化される時代がやってきた。正式な営業許可の有無や納税の実績に関わりなく、自分の口座を示すQRコードさえ店先に掲げれば代金を受け取れ、商売が成り立つ。

 屋台の女性は「以前はニセ札の百元をつかまされたこともあったけど、スマホ払いにしてからは心配なくなったし、お客さんもケチることが少なくなった。今度からは現金お断りにするわ」と笑顔を見せた。

 2系統のサービス

 中国のスマホ決済は大きく2系統ある。電子商取引大手のアリババ系の「支付宝(アリペイ)」と、IT大手の騰訊(テンセント)系の「微信支付(WeChatPay)」だ。お客は自分のスマホの専用アプリでどちらかのサービスのQRコードを読み込み、スマホに支払額を入力して、パスワードか指紋で認証すれば決済完了だ。

17年7~9月期の中国国内モバイル決済額は約837兆円